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 僕の替え玉君を紹介します

 ついに気が触れたと思われそうですが、僕(この個体の前頭葉が生み出す意識)は、替え玉君を用意しています。

 この替え玉君が、百貨店清掃をしたり、出版社に勤務したり、武術やヨガの稽古をしたり、大学院生をやっています。

 だからね、みなさんの前に姿を見せているのは、替え玉君であって、僕の本体ではないのですよ。

 僕が前面にしゃしゃり出ると、「我が強い」「自己顕示欲が強い」という替え玉君にたいするネガティブな評価につながりますからね。僕は、替え玉君思いなのです。

   あっ、だから今、この文章を書いているのも替え玉君か。  僕(意識)はただ考えているだけで、実際にキーボードを叩いているのは、替え玉君です。

 そう、僕(意識)は、日常的には、替え玉君に全権委任しています。

 この替え玉君は、なかなか優秀で、それなりに能力があったり、色々な人格を演じることができるのです。  僕が戸惑ってしまうような、身体の使い方をしたりします。

 いや、そういう時は、替え玉君がこの身体の支配権を握っています。  僕は、消滅しています。  僕の意識が戻ったときには、勝手に試合に出場していたりして、しかも怪我をしていて、「アイタタタ・・・」なんてことをしてくれるんだ」と思います。

   僕は、あまり危険な目に合いたくないのですよ。  痛くて苦しい稽古だってしたくないし、試合にも出たくない。  糖分(?)があれば、それで満足なのです。

 でも、この替え玉君は、汗を流したり、身体を動かしたり、あれこれ欲望を満たしてあげないと野獣のように牙を剥くので、僕も大変なんですよね。

 ともかくね、「それは、私ではありません」と言いたいのだよね。  僕の行動は、替え玉君がやったことです。  

 あるいは、僕は、言うこととやることが全然違いますが、それは当然なのです。  だって、替え玉君は、僕とは別人なのですからね。  

山田宏哉記

追記。 最終的には、「僕なんて存在しないよ」と言いたい。

2006.11.4

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