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 下を向いて歩こう

 浅野いにおの『ソラニン』(小学館)を読了しました。  ヤングサンデーに連載されていたものです。

 一面として、フリーターをしながら音楽活動を続けることの切なさややるせなさを描いています。(これがメインテーマではありません)

 「努力を重ねて成功する」というタイプのサクセスストーリーではありません。むしろ、だんだん追い詰められて、沈んでいきます。

 本筋とはあまり関係ない台詞ですが、「下を向いて歩こう」という言葉がありました。 直感的に「これは、とても大切なことだ」と感じました。

 時間は有限だし、誰しも才能に恵まれているわけでもない。  「夢」が大きすぎると、失望だけがでかくなるわけです。

 フリーターは自由だと言っても、歳月とともに、確実に選択肢が狭まっていくわけです。この辺のことをすごくリアルに描いています。

 そして、少しネタバレですが、「もう、次はない」という状況での一発勝負に負けた主人公は、結局、信号無視で交差点に突っ込んで死んでしまうのですね。

 確かに、向上心一辺倒だと精神的に参ってしまうのですよね。  「夢」を削って、地に足をつけるのは、別に敗北というわけではないんだね。

 現代日本で生きていれば、ひとまず餓死する心配はないでしょう。  それだけでも、ありがたいことです。

 もっと下を見よう。  どんなに自分が惨めで不遇だと思っても、下には下がいるでしょう。  そうやって、逃げ道を残しておくことは、すごく大切なことだと思います。     

  山田宏哉記

追記。 自分より悲惨な境遇の人を見ると、なぜか元気がでるよね。うわっ、ネガティブオーラ炸裂だ。

2006.11.14

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