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  「事なかれ主義」の逆襲

 僕は、事なかれ主義者です。  規則正しい日常を乱される出来事が起きるのが、何より嫌です。

 僕にとっては、平穏無事な日常が続くこと大切で、大事件や大戦争に巻き込まれるのは、迷惑です。

 日々の生活が充分に刺激的なので、これ以上の刺激は不要なのです。世間の出来事とは全く無関係に、毎日を楽しめています。

 とはいえ、「事なかれ主義」という言葉は、プラスの意味で使われることはまずありません。臆病、意気地なし、諦観、無気力・無関心といった性格を連想させます。

 でも、冷静に考えると、事なかれ主義は、プラスの面も多いのです。

 日常生活をルーティン化することによって、意識の容量やエネルギーを本業につぎ込むことができます。事なかれ主義だからこそ、日々の生活にリズムを持ち込むことができます。

 多忙な人は、事なかれ主義者で、暇人は、事あるかれ主義者です。  毎日、家で寝転がってTVを見ているだけの人は、やっぱり身の回りに刺激的な出来事が起こってほしいのではないでしょうか。

 これが、日々の食糧確保のために、駆けずり回っていたら、じっくり思索にふけることなど、不可能です。

 あるいは、街中で肩がぶつかったなどで一触即発の事態になっても、「あっ、すみません」と謝ってしまった方が都合がいいです。

 ここで、事あるかれ主義で、ストリート・ファイトをしても、勝てば警察行き、負ければ病院送りです。こういうときは、変に粋がったりせず、逃げるのが一番です。

   「金持ち喧嘩せず」という諺もあります。  何事も丸くおさめる事なかれ主義は、お金持ちになるための条件でもあるのです。  

山田宏哉記

追記。 事なかれ主義を地で行くようなエッセイになりました。

2006.11.26

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