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  目指せ! マニュアル人間

     このご時勢、「マニュアル人間では生き残れない」とよく言われませす。  いやいや、厳密に言えば、そんなことはありません。

 マニュアル人間は、常に一定数、必要とされるからです。  ひたすら貨物コンテナからダンボールを運び出したり、排水溝やトイレの掃除をしたりするのは、今のところ、ロボットには勤まりません。

 あるいは、吉野家やマクドナルドの店員もロボットには無理でしょう。  だから、安心してください。  マニュアル人間でも生きていけます。

 むしろ、余計なことを考えない人間の方が、向いています。

 ただし、それで仕事に満足できるかというと、それは別問題です。

 例えば、掃除屋の仕事は、誰でもできます。  そして、いくらでも補充が利きます。  基本的に、「自分でなければできない仕事」というのは、あまりありません。

 だから、例えば、誰かが掃除屋の仕事を辞めたところで、別に痛くもかゆくもないのです。ただ、「一時的に人数が足りなくなったから、新たに募集をかけよう」というだけの話です。

 反面、例えば、文章を書いたり、音楽を作る仕事は、本人にしかできません。  「誰かの代わりに作曲する」というのは、基本的に不可能です。

 僕は、僕にしかできない仕事をしたい。  この気持ちは、10代の頃から一貫しています。  そして、そのためには、「マニュアル+α」が必要なのです。

 しかし、ここで誤解しないでもらいたいのは、マニュアル作業を、キチンとこなせることは大前提だということです。

 「マニュアル人間」は、馬鹿にできません。今の若者の多くは、「マニュアル人間」の水準にも達していないのです。

 例えば、荷物を運ぶように指示されて、重くて持てなかったら、「マニュアル人間失格」です。一体誰が、そんな人に、「ならでは」の仕事を任せたいと思うでしょう?

 というわけで、まずはマニュアル人間に徹することは、成長・上達の途上として悪くないと思います。    

山田宏哉記

追記。 「言われた通りにする」ことが、どんなに難しいかわかる人は、かなりの上級者のように思います。

2006.12.7

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