(1076)

  マニュアルを土台とする

   「目指せ!マニュアル人間」「マニュアル人間の言い分」に引き続き、マニュアル3部作の最終回となりました。 

 例えば、文学賞を獲るのは、早稲田大学出身の作家(の卵)が多い。  早稲田は、多少は受験勉強をしないと、入学試験で合格点をとることができません。 

 受験は、マニュアル作業の典型です。

 もし、受験勉強というマニュアル作業が、想像力を圧殺するものであったら、文学賞をとるのは、受験制度を否定する創造力が豊かな人でなければいけません。

 具体的には、芥川賞や直木賞は、高卒の土方とか、フリーターの掃除屋、引きこもりニートなどが独占しなければ、おかしいはずです。 

 しかし、現実には、受験で高い偏差値を取る人間の方が、文芸のジャンルでも活躍しやすいのです。「受験勉強"だけ"では、創造力は身につかない」と言った方が正確です。実は作家を目指すにも、マニュアル人間の方が有利なのです。 

 逆に、作家を気取って、常識はずれの言動を繰り返したところで、刑務所か精神病院に入れられて終わりです。 

(もっとも、いい作品に文学賞が贈られるわけではないんですけどね。もし仮に、『蹴りたい背中』を書いたのが、40歳の主婦だったら、完全に無視されて終わりです。) 

 結局のところ、第3者には、華やかな部分しか見えないのです。  格闘技の試合で鮮やかな上段廻し蹴りを決めるには、地道に柔軟体操をして股関節を柔らかくすることが不可欠です。しかし、そういった地道な努力は、普通の人には見えません。 

 ピラミッドでは、高いところの岩(石?)ほど目立ちます。  逆に、ピラミッドの1段目2段目など、ほとんど意識されません。  しかし、どちらが大切かといえば、明らかに下の段の岩です。 

 つまり、活躍する人は、地味な下地なり土台がしっかりしているのです。  それを、見た目だけ真似しようとしても無理な話です。    

山田宏哉記

追記。 「運動ができれば、勉強ができなくてもいい?」かといえば、駄目です。アンバランスは、身体を壊すもとです。筋骨隆々で心臓が弱い人は、筋肉も心臓も両方弱い人よりもかえって早く、心筋梗塞などで死んでしまいます。

2006.12.8

記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ