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 研究夜話 E・ホッファーとの対話

   今回も、E・ホッファーの言葉を検討していきましょう。

 <かつて若者たちがこれほど自己を重視したことはなかった。そして不幸なことに、そうした若者たちに、非常に多くの大人たちが傾聴し、敬意をはらっている。

 もったいぶった若者たちを重要視する社会には、重大な問題が待ちかまえている。>(『エリック・ホッファーの人間とは何か』河出書房 P113〜114)

 これは、1960年代のアメリカのことです。当時、自我と権利意識が肥大化した若者たちが、ロックバンドを真似て、ドラッグをやりながら「あぅあぅあぅ」と絶叫していたようです。

 ちょうどこの時期から、犖鼎よきアメリカ瓩蓮急速に犯罪者の巣窟のような社会へと変貌していきます。ケネディ兄弟、キング牧師、マルコムXなど、いわば爛▲瓮螢ン・ヒーロー瓩次々と暗殺されたというのが象徴的です。

 自分のことを棚に上げて言うけれども、「俺が、俺が」という"若者文化瓩、社会の前面に出てくるのは、あまりよくない社会です。

 90年代の閉塞感漂う日本が、ルーズソックスを履いて牘臀交際瓩鬚垢觸子高生の話題に席巻されたのと似ています。大人も叱ることができるほど、立派に生きているわけではありませんでした。

 だからこそ僕がホッファーの意志を継ぎ、世の害虫たる若造たちに向かって、罵声を浴びせたいと思います。

 ヒッピーやフリーターやボヘミアンを気取って、「俺は天才! 社会は腐っている」とか言って、努力を放棄して、マリファナを吸っていても、何もいいことはありません。実際、本人の脳が腐っているから、世の中が腐って見えるだけです。

 世界水準で見ると、若い男性は、徴兵制で軍隊生活を送るのが珍しくありません。

 軍隊の是非はさておき、徹底的に自我や個性を否定される場所でしか学べないことは少なくありません。あえて、犒亳骸圻瓩里茲Δ文ぶりを撤回する気はありません。

 ホッファーも言っているけれども、若い人間は、自意識過剰なエネルギーを"技術の習得瓩謀床修靴禿蟷颪垢襪里、最も実りある成果を生み出すように思います。

 確かな技術の裏打ちがあれば、「人格に問題がある」とか「性格が悪い」と言われても、大して傷つかなくなります。

 あえて言うが、僕は、若者は狎鎖静成長瓩鯡椹悗垢戮ではないと思う。それは「逃げ」の口実として、使われてきたものです。見定めるべきは、犁蚕囘達成瓩任靴腓Α

 精神療法の類で、「君は素晴らしい!オンリー・ワン!」とか言われても、自分の中に財産として蓄積されていくものがないから、睡眠薬のように依存症に陥るだけのように思います。

 反面、一旦、自転車に乗れるようになれば、いつでも自由に自転車に乗れます。犲分探し瓩箸、大げさに考えなくても、こんな些細なことでも、人は自信や自尊心を取り戻すことができるのです。

山田宏哉記

P.S. というわけで、「精神力は、技術不足の代用品でしかない」というホッファーの洞察には、全面的に同感です。

2007.10.4
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