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  表現領域のクロス・オーバー

 表現者にとって、自分の作品を発表する場所を確保するのは、まさに死活問題です。

 インターネット以前の世界では、美術館の一角のスペースを借りて展覧会を開くとか、小劇場を借りて芝居をするとか、ライブハウスを借りて演奏するということが必要でした。

 これはこれで有効な手段ですが、かなりの金額がかかりました。えてして貧乏な表現者にとって痛手でした。

 インターネット以後の世界では、自分のウェブサイトを持つことによって、無料同然のサイバー空間を発表の場にすることができるようになりました。才能を持った表現者にとって、無限の可能性が開かれました。

 このことは、この時代に生きる表現者にとって、ある程度の共通認識です。ただし、さらにこの先の話があります。

 これまでは、活動資金等の制約から、音楽なら音楽、芝居なら芝居といった具合に、自分の専門分野をひとつに限定することが必要でした。一点突破しか選択肢がありませんでした。

 これからの時代は、才能次第で、表現者が複数の専門分野を持つことができるようになりました。さらに重要なことは、そのそれぞれの分野の作品を発表できることです。

 僕は今、ラジオ・ステーション構想で、趣味(?)として自分で作曲した音楽を配信しようと考えています(ゆくゆくは、「護身術講座」等も映像配信したいなぁ)。

 言うまでもなく、僕の表現のメイン領域は、文筆です。  その発表の場としてのウェブサイトを持っている。  ここまではありきたりのことで、表現者ならば誰でもやっています。

 ところが今や、複業としてやっているラジオ・トークや作曲した作品も、文筆の発表の場として作ったウェブサイトで発表することが可能になりました。これは、すさまじいシナジー(相乗)効果を生む可能性を秘めています。

 「表現領域のクロス・オーバー」こそ、ウェブ時代の才能ある表現者が徹底活用するべき潮流だと思います。

 そして、そのためにウェブ・マスターとしての基礎体力を充実させることが、相当にモノを言うとこともまた付け加えておくべきでしょう。

  山田宏哉記

P.S. このエッセイを踏まえて、「クリエイティヴ志向の君たちへ」の第二回放送を行います。お楽しみに。

2007.11.24
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