(1558)

  口述 カーペンターズの思い出

 カーペンターズの思い出という話をしました。

 僕がカーペンターズの音楽と出会ったのは、中学時代のことです。  英語の先生が、授業の際に歌う楽曲として用意してくださいました。

 思春期の多感な時期に、カーペンターズの音楽と出会えたことを、僕は今になって、本当に感謝しています。もちろん当時は、人生経験の不足などで、その値打ちをわかっていなかったのですが。

   カーペンターズの歌の中で、最も好きな曲は、"I need to be in love瓩任后F本では、『青春の輝き』と意訳されて発売されましたが、これは名訳だと思います。

 というわけで、最も好きなフレーズを引用して、試訳してみます。

  I used to say "No promises, let's keep it simple"
But freedom only helps you say goodbye
It took a while for me to learn that nothing comes for free
The price I paid is high enough for me

(試訳) よく言ったものね 「約束はいらない。わかりやすい関係でいましょう」と
でもその自由は助けただけね あなたが「さよなら」と言うのを
時間をかけてようやく 自由が何ももたらさないことがわかった
そしてその代償は あまりにも高くついた

I know I need to be in love
I know I've wasted too much time
I know I ask perfection of a quite imperfect world
And fool enough to think that's what I'll find

(試訳)
わかってる 愛し愛される必要があることを
わかってる あまりに多くの時間を無為に過ごしたことを
わかってる この不完全な世界に完璧さを求めて
それを見つけられると考えるほどのおバカさんなことを

 若干の解説を加えると、世間知らずで過剰に潔癖であるという「若き日の過ち」を後悔しつつも、それを愛おしく思う気持ちが入り混じった、独特の感情を表現しています。

 僕にも確かに、そういう時期があった。本気で、自分の作る音楽で、世の中を変えられると確信していた。本気で、世界に平和をもたらして、人々に感動と幸せをもたらしたいと考えていた。

 カーペンターズの曲と出会った頃は、まさにその当事者でした。

 もちろん、人は成長するにつれ、現実の荒波の中で、自分の思う通りには世の中が動かないことを学んでいく。

 振り返れば、世間知らずだった。平気で大切な人を傷つけた。無知ゆえの蛮勇だった。

 それでも、そういう「若さゆえの過ち」を後悔しつつも、愛おしく思う気持ちは、確かに僕の中にもある。いや、誰の中にでもあるのではないかと思う。

 だからこそ、この『青春の輝き』が世代を超えて、名曲として受け継がれていくのだと思います。

  山田宏哉記

P.S. まだ、聴いていない人は、死ぬまでにぜひ一度は聴いてください。

2007.12.2
 手紙一覧へ戻る 文筆劇場・トップ