ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (1578)

 LibriVoxの衝撃

  最近、僕が利用し始めたウェブサイトにLibriVox(http://librivox.org/)があります。色々な意味で「勝負あり」と思いました。

 著作権が切れた英語の朗読作品を集めているサイトです。驚愕すべきは、その圧倒的な質と量です。

 僕は今、LibriVoxに収められた約1,500の古典作品の中から、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』、マキャベリの『君主論』、バートランド・ラッセルの『フィロソフィーの問題』などの古典の朗読をシリコン・オーディオで聴いています。

 西洋の著名な知識人や文学者の本が音声化されて、納められています。

 人文系の大学院生などからすれば、喉から手が出るほど待ち望んだものです。
 
 確かに、日本にも、朗読作品を集めたサイト(例えば「声の花束」)がありますが、日本近代文学に偏重しすぎていて、歴史書や哲学書、評論などは手薄です。LibriVoxとは、マシンガンと竹槍くらいの差があります。

 改めてつくづく感じるのは、英語のリスニング能力(読解力)の重要性です。

 LibriVoxには、人類の知の遺産ともいうべき作品が転がっていますが、残念ながらほとんどの日本人は、英語の壁に阻まれて活用できないでしょう。

 日本語訳して活字で読んでも難しい本を、英語で、しかもリスニングで理解するというのは、並大抵の英語力では間に合いません。

 いまや、リスニング能力次第でギリシア以来の西洋の古典作品が、移動時間や家で掃除をしながら聴くことができるのです。しかし、その恩恵にあずかれるのは、英語力に秀でた一部の日本人だけということになります。

 LibriVoxを利用できるか、できないかで、教養の格差は、否応なしに、絶望的に開くでしょう。そして僕は、内心「悪いけど、勝った!」と思っています。
 
追記. わかりやすく言うと、LibriVoxは、ごく近い将来、現在のウィキペディアやヨウツベのような存在になるでしょう。

 山田宏哉記

 2007.12.26
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