ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (1869)

 映画『ヴァンダの部屋』をどう観るか

 池袋の新文芸座にてペドロ・コスタ監督の映画『ヴァンダの部屋』(2000年、178分)を観てきました。

 映画の舞台とあるのは、リスボン(ポルトガル)のフォンタイーニャス地区です。再開発が進む移民街(ゲットー)でジャンキー(麻薬中毒者)として家族と暮らすヴァンダという女性(最初、男性かと思った)が主人公です。

 どこまで実話かわかりませんが、ドキュメンタリー色の強い作品です。そして、小津映画のようにカメラの位置を固定して、淡々と情景を撮っています。

 麻薬の副作用からか、ヴァンダが激しく咳き込むシーンが何度も放映されます。観ているこちらまで息苦しくなりそうです。

 この映画を一言で言うなら、牘⊥気癖頂百境瓩箸いΔ海箸任靴腓Δ。平静な日常においても、ブルドーザーが移民街を破壊していく音が鳴り響いています。

 そんな中、ヴァンダは特に何をするというわけでもなく、部屋でひたすら麻薬とタバコを吸っています。時々、仕方なく野菜を売りに出かけたりします。

 言葉で筋書きを説明するなら、ほとんどそれだけの映画です。そんな移民街で最底辺に近い生活を営む人々(黒人の比率が高い)の細やかな日常を丁寧に描いています。

 ほとんどみな、麻薬をやっているので、日本の庶民が感情移入することは難しいかもしれません。

 考えてみると、ポルトガル、リスボン、移民街という舞台そのものが、日本人とはどこか縁遠い存在です。ですので、単純に「世界にはこんな場所もある。こんな生活をしている人たちもいる」という"お勉強"のつもりで観ても、得るところが多いと思います。

 また、無責任な言い方ですが、蓮實重彦さんも絶賛していたので、芸術性も高いということなのでしょう。  

 追記. 続いて上映された同監督の『コロッサル・ユース』については、眠気に効しがたかったのでノーコメントでお願いします。 

山田宏哉記

 2008.11.1
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