ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (1919)

 編集記者の条件と知的能力の拡大

 大学院時代のごく一時期、雑誌の編集記者の仕事をしていたことがあります。

 そのとき「編集者は、交渉や取材ができて、文章が書けて、編集ができて、写真が撮れて…といったように色々なことができなればならない。そのすべてが100点である必要はないけれども、どれも70点以上ではなければならない」という趣旨のことを教わりました。  

 何をやっても平均以上の成績はとれるけれども、どれも一番にはなれなかった。そんな僕にとって、編集記者の仕事は天職ではないかと思ったものです(あえて、その後の展開には触れません)。

 そして今、思うことがあります。個人ウェブサイトを運営するというのは、編集記者の条件と非常に似ているということです。

 そのためテキスト主体の個人ウェブサイトを作ろうと思ったら、おもしろい文章を書くことができなければなりませんが、それだけでは役不足です。  

 ウェブ製作上の技術的な側面にも詳しくなければなりませんし、新規の読者を獲得したり、読者に何度も訪れてもらうためには、営業的なセンスも必要です。

 テキスト主体のコンテンツだけではなく、音声配信をやろうと思ったら話術(さらには録音技術)も必要になりますし、映像を配信しようと思ったら、また別の能力が要求されます。

 どのスキルも100点である必要はありませんが、どれも70〜80点以上であることは必要です。

 おもしろい文章が書ける人ならたくさんいる。ウェブ製作に関する知識や技術が深い人もいる。しかし、両方の条件を満たす人はあまりかぶりません。

 いくら文章が良くても、レイアウト的に読みにくければ読まれないし、いくら技術面が磐石でも、文章がつまらなければ見捨てられます。

 さらにビジネスパーソンとしての基本スキル(コミュニケーション能力、営業スキル、数字を読む力など)を加えると、すべての条件を満たす人はほとんどいなくなります。

 そうなると、個人ウェブサイトの世界は、私のようなオールラウンド・プレイヤー(器用貧乏とも言う)の独壇場ということになります。

 また、逆に個人ウェブサイトを製作・運営すると、知的能力が拡大するという作用もあります。だから、修行・研鑽のための手段として非常に有効です。

 僕は、ポッドキャスト学習を推奨しているけれども、本当のところ、個人ウェブサイトの製作・運営の方が、より多くのことを学ぶことができます。

 たとえ無料であっても、自分の文章を読んでもらったり、訪問者をたったの1分、自分のサイトに留めることがどんなに難しいことか、やはり経験してみないとわからないでしょう。

 追記. 諸事情により、編集記者にはなれなかったけれども、文筆劇場の製作と運営は、いわば僕の"天職"です。

山田宏哉記

 2008.12.6
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