ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (1920)

 今こそ、勤労学生のススメ

 僕が在籍していた早稲田大学の社会科学部は、かつては勤労学生のための学部でした。社会人になってからも向学心に燃えた若者たちに向けて、夜間に授業を行っていました。

 これが設立理念だったわけですが、実際には、勤労学生が多数派を占めた時代は存在しませんでした。

 僕は今、"勤労学生"という立場で、大学院の社会科学研究科(社会科学部の大学院)に在籍しています。ある時は、民間企業の社員を演じ、またある時は、早稲田の学生という立場を演じています。

 その上で、思うことがあります。今こそ、勤労学生の時代です。向学心に燃えた若者は、職業を持ち、生計を立てながら、学問に励むべきだと強く主張します。

 専任の大学院生というのは、どうしても現実社会と格闘するタフネスに欠けています。職業選択の問題こそが、多くの人々にとって人生最大の問題であるということが、身体でわからない。

 逆に、ただのサラリーマンというのは、余暇は飲み会やカラオケに明け暮れ、向学心そのものがありません。それでも、日々の会社の業務をこなすことはできるでしょうが、長い眼で見て、長期的に勝ちあがっていくことは困難でしょう。

 両方やるべきなのです。実社会で自分の力でお金を稼ぐ。その上で、大学に通うなどして勉学に励む。自分に対して、後ろめたい点がないということが大切なのです。

 かつて、武術の恩師に、「大人の男とは、同時に何枚もの皿回しができるものだ」という説教を受けたことがあります。時間がない、お金がない、余裕がない。言い訳ならいくらでもできる。

 ただ、そういう厳しい環境で働きつつ学び、学びつつ働くからこそ、人間としての器を大きくすることができるという面は、必ずあると思います。

 野心と向学心に燃える若者諸君。今こそ、誇りを持って、勤労学生の世界に飛びこむことを強く勧めます。ぬるま湯のような日本社会では、少しくらい、他人よりも厳しい環境に身を置いた方が自分のためにもなるのです。

 追記. ちなみに映画は学生料金で入場できますし、PCソフトも学生料金で買うことができます。

山田宏哉記

 2008.12.6
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