ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (1945)

 世界が織りなす一瞬を/石川直樹さん

 「ラジオ版学問のススメ」にて、石川直樹さんが出演されていました。

 大学時代、石川さんの『この地球を受け継ぐ者へ』(講談社,2001年)を読んで、自分とさして年齢の違わない青年の偉業を心強く思うと同時に、強烈な嫉妬を覚えた記憶があります。

 当時、石川さんは「Pole to Pole 2000(P2P)」や「セブンサミット」のプロジェクト達成者として注目されていました。

 「冒険家」というのは、僕が無条件に頭を下げたくなる種類の人々です。それはきっと、僕が自分の五体以外のものを使って、ズルをして生きているからです。

 ただ、その後、石川さんが何をされているのか、把握していませんでした。それが今回、写真家として新たに歩まれているという話を聴いて、「あぁ、歩みは止めていなかったんだ」と感慨を深くしました。

 写真というのは、世界が織りなす今という一瞬を切り取ります。"世界が止まる"というのは、現実にはありえないことです。「なぜ、映像ではなく写真なのか」と問われて、そんな答えをしていました。

 つまり、写真に対して、エターナル・ナウ(永遠の今)を具現する媒体という感触を抱いている。この認識の深さにも、僕はまた嫉妬を覚えます。

 ただ、自分の可能性の限界に挑戦するという意味においては、石川さんも常に闘っているのだという勝手な連帯意識がありました。

 『この地球を受け継ぐ者へ』を読んでから、僕もまた変わりました。学校秀才から脱皮するために、武術や格闘技に入れ込んだり、的外れな努力もたくさんしたけれども、なぜかおこがましいことに「負けたくない」(負けているけど)という闘志が湧いてきました。

 追記. しかも石川さんの個人ウェブサイトは、相当ヤバイことになっています。何とか石川さんに追いつきたいと思っていたけど、どうやらさらに差をつけられてしまったようです。ウキー!

山田宏哉記

 2008.12.25
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