ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2332)

 新聞奨学生諸君!

 最近、学生時代からの知り合いの新聞奨学生出身の知人に会いました。なんでも今、フリーターをしているそうです。

 それが本人の望んだ結果ならいいのですが、そうでなければ、やはりため息が出ます。

 大学時代、僕が知り合った新聞奨学生は3名います。簡単に言うと、学費と寮の面倒を見てもらう代わりに、新聞配達をするというものです。

 1日の生活を聞くと、朝は早く、仕事の疲れで学業に集中できそうもなく、相当に厳しそうでした。

 対照的に、付属校から上がってきた学生の生活は優雅なものでした。設備の充実したワンルーム・マンションに済んで、「バイトをしなくて済むように」ということで、月に7万円のお小遣いをもらっていたようです。

 そうそう、彼はよく部屋に女の子を呼びこんで、"悶絶"していたそうです。

 早稲田大学は、一般に庶民派の大学とされていますが、入学後の生活には、結構な格差がありました。

 新聞奨学生のように、学費と住む場所にも事欠くような貧乏学生がいる一方で、親の脛をかじって優雅な生活を送っている者もいました。

 おそらく、新聞奨学生は労働基準法に違反しています。それでも、カネがなくて大学に行きたい人にとっては、最後のセーフティ・ネットなので、やはり維持すべき制度と言えるでしょう。

 新聞奨学生は、自分で稼いだカネで大学に通い、生活を営んでいるという意味においては、間違いなく立派な存在です。しかし、そんな彼らに明るい将来が約束されているかというと、むしろ逆の場合が多いようです。

 授業にも出れず、サークルもできず、就職活動もできず、既卒として実社会に放り出される。それだけで、人生において、かなりのハンディになります。

 毎日、午前3時に起き、雨の日も黙々と新聞配達を続けたところで、誰かがそれを見ていて、評価してくれると考えるのは、やはり甘いでしょう。これを言うのはつらいけれども、それが現実です。

 むしろ、親のカネで外車を乗り回し、部屋で女の子と"悶絶"しているような学生の方が、就職活動でも「コミュニケーション能力がある」などと評価される可能性が高そうです。

 新聞奨学生諸君。これ以上、「頑張れ」とは言わない。ただ、何とかこの社会システムの間隙を突いて、自分なりに納得のいく人生を手にして欲しいと思います。

   追記.最近、つい優しくなってしまったりして、自分でも困っています。

山田宏哉記
 
 2009.10.19
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