ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2334)

 作家の敵としての出版社・編集者・書店員

 本を出版したことがある人ならわかると思いますが、定価\1,680の書籍が一冊売れた場合、著者(書き手)の収入になるのは、だいたい1割の\168くらいです。

 残りの9割は、出版社・編集者・書店員など、"関係者"の取り分となります。

 「これが業界の常識ですから」と言われれば、その通りなのかと思いますが、素朴な実感として、やはりこの構造はおかしいのではないでしょうか。

 これだと「国民の誰もが知っている」くらいに有名にならないと、文筆業だけでは食べていけないからです。

 モノカキが出版社を通さずに、読者に対して直接、"物販"を始めると、この取り分を100%にすることができます。勝谷勝彦氏や日垣隆氏のように、有料メルマガを発行するモノカキも結構、散見されます。

 出版社のお膳立てがなくても、読者を獲得できるだけの力があるなら、自力でウェブを運営して原稿を販売した方が、明らかに利益率が向上するでしょう。

 それ以上に決定的なのは、モノカキが直接、広告収入を得ることができるようなったということです。

 テキストにグーグル・アドセンスのソースコードを埋め込んでおけば、手間をかけずに、自動的に原稿に関連した広告が挿入できます。

 広告収入というのは、出版社の営業マンが、地面を這いずり回って、何とか獲得するものでした。端的に言って、広告収入はおいしい。一般に、雑誌の収益の半分くらいは広告収入でしょう。

 そして、出版社が広告収入から利鞘を抜き、モノカキに渡す折には、なぜか「原稿料」などと呼ばれます。

 僕の直感ですが、おそらく熱心な読者が1,000人いれば、読者への"原稿の直接販売"と"広告収入"だけで、モノカキとして食べていけます。

 有料会員の年間費を1万円に設定すれば、単純計算で年商1,000万円です。

 かつてならば、職業的なモノカキになるためには、「出版社の新人賞を獲って、編集者に気に入られて、雑誌の連載を持って…」と長く煩雑な手続きを踏むしかありませんでしたが、今は選択肢が広がりました。

 自分の才能と実力に圧倒的な自信があるのなら、このような潮流に乗らない手はないのではないでしょうか。

   追記.そして当然ながら、出版業界では以上のような原稿はボツとなります。

山田宏哉記
 
 2009.10.20
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