ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2340)

 ハードワーカーの矜持

 自分で言うのも何ですが、僕はハードワーカーの側に属すると思います。

 ほとんど1日中、仕事をしています。もちろん、休日はありません。確かに、宮使えには出勤日と休日の区分はありますが、原稿執筆から翻訳作業、ウェブ製作に至るまで、際限がありません。

 もちろん、知的な成果を上げていくためには、研究というか、資料を読み込んだりすることも必要不可欠です。

 福澤諭吉は、仕事というものを大変高く評価していました。

 だからこそ、「人生でいちばん楽しく、立派なことは、生涯を通じた仕事を持つことである」と「人生でいちばん寂しいことは、仕事がないことである」という趣旨の言葉を残しています。

 さて、9〜17時勤務で残業なしで、年次有給休暇はすべて使い切ることができて、給料も福利厚生も恵まれていて、解雇される心配もない組織があったとします。さて、それを「羨ましい」と思うでしょうか。

 僕は、そうは思わない。なぜなら、このようなぬるま湯のような環境では、仕事の腕を上げることが困難だからです。そして、組織にしがみつくようになる。蔓延するのは、保身と責任転嫁です。

 公務員が「仕事の責任を取って、職を辞した」という話は聞いたことがありません。人間、こうなったら終わりだと僕は思う。

 もちろん、ビジネスパーソンである以上、組織には徹底的に貢献するべきです。しかし、組織に対して、あまり多くの見返りを期待するべきではありません。相手との距離を適切に保つコツは、常に「借り」より「貸し」を多くすることです。

 そして、どれだけ保身と責任転嫁の言動を抑えることができるかが、勝負です。

 ほとんどの人は、何かトラブルが起きたときに、「それは私の責任です」とハッキリ言い切ることができません。

 「それは○○さんに頼んでおいた」とか「聞いていなかった」とか」とか「景気が悪かった」などと、弁解の言葉を連ねます。それがどれだけ、自分の株を落とす行為かわかっていないようです。

 僕は宮仕えでは、不手際があったら、なるべく「申し訳ありません。それは私の責任です」と言うようにしています。自分に一切の弁解と責任転嫁を禁じています。それでも、どうしても自分には甘くなってしまうから、それくらいの意識で丁度いいのです。

 また、それで不利益を被っても、仕方がないと思っています。

 厳しいことを言えば、「失敗したら、会社を辞めます」という覚悟がなければ、いい仕事はできないのです。

 思うにそれが、ハードワーカーの矜持です。

   追記.この際、ハッキリ書いておきますが、僕は保身と責任転嫁に走る人を、格下の人間として見下しています。

山田宏哉記
 
 2009.10.24
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