ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2349)

 "Bクワドラント・セミナー"の基本構造

 大井町のココスでの胡散臭い"Bクワドラント・セミナー"の話があまりに面白かったので、いくらか理論的に敷衍しておきます。

 まず、"自己啓発セミナー"や"お金持ちになる方法セミナー"が想定している顧客は、意外とハッキリしています。それは、おそらく"会社を辞めたい若手社員"です。

 口に出しては言わずとも、「毎日、会社に行くのが嫌で嫌で仕方がない」という20代の方は、必ず一定数、存在します。つまりここには、"強烈な需要"が存在します。

 本当にひどい悪条件で働いていて、自殺を考えているような人であれば、カネに糸目はつけないでしょう。

 このような人たちに対して、有償で"ソリューション"を提供するというのは、眼の付け所が鋭いと言わざるを得ません。いやはや、怖いくらいに鋭いです。

 普通の人は、「働かなくては、生きていけない」という固定観念を抱えています。

 だからこそ、組織で働くのが嫌で仕方がない人にとっては、"金持ち父さん"の「汗水垂らして働かなくても、投資家・ビジネスオーナー(Bクワドラント)としてお金持ちになれる」というメッセージは、"神のお告げ"にも聞こえるのではないでしょうか。

 絶妙なのは、"金持ち父さん"のメッセージそのものは、別に間違っているわけでもないところです。

 実際、給与所得者という立場では、年収2,000万円を突破するのは困難です。これが投資家・ビジネスオーナーであれば、収入はオープンエンド(青天井)になります。

 ですので、"金持ち父さん"のメッセージは、胡散臭くはあっても、詐欺とは言えないでしょう。

 ただし、"Bクワドラント・セミナー"というビジネス・モデルの限界は、結局、"ノウハウ"を売り物にするしかないという点にあります。

 だから、"Bクワドラント・セミナー"に触発されて起業した青年が、事業として"Bクロドラントになる方法"のノウハウ商売を始めたりする。結局は、不労所得ノウハウの縮小再生産であり、悪く言えば一種のネズミ講です。

 ややメタ・レベルから記述すれば、以上が"Bクワドラント・セミナー"の基本構造です。

 そして、"Bクワドラント・セミナー"の基本構造が言えるくらいのビジネスセンスがないようでは、"神のお告げ"に従って投資や起業の世界に飛び込んでも、既に敗北が約束されているのではないでしょうか。

   追記.このネタは、物理世界でも存分に使わせていただきます。

山田宏哉記
 
 2009.10.29
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