ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2356)

 バックナンバーという情報の主戦場

 メディアにとって価値があるのは、最新版ではなく、バックナンバーになりつつあります。

 僕は、有料の「日経テレコン21」のヘビー・ユーザーですが、このデータベース・サービスの真骨頂は、日経4紙のバックナンバー記事を正確に検索できる、という点にあります。

 現状では、日経の最新記事は、誰でも無料でウェブで読むことができます。しかし、あるキーワード(自分の関係する会社名だったりしますが)を含んでいる日経のバックナンバー記事の全文を読もうと思ったら、今のところ、有料データベースと契約するしかありません。

 思うに、メディアにとっての主戦場は、"速報性"から"バックナンバーの蓄積量"に移ってきています。  

 そして、蓄積したコンテンツの質が高く、量が多いほど、そのことが信用や信頼につながることになります。

 新聞社がウェブ上のニュースを無料で読めるようにしたのは、実験的な試みでした。どうやら当人たちは、PCの普及率が50%を越えた時点などで課金する公算だったようです。しかし、機を逸した。

 今更、ウェブのニュースを有料にすることは困難でしょう。有料コンテンツとするなら、「データベースに組み込まれたバックナンバー記事」でしょう。

 そもそも、新聞記事というのは従来、スクラップにでもしておかない限り、過去の記事はどんどん忘れられていくものでした。

 1年前の新聞記事というのは、情報として価値がないと思われていたし、仮に記事にアクセスしようと思っても、図書館の書庫で格闘するなどの手間が必要でした。

 しかし、ピンポイントで必要な新聞記事を取り出すことができるなら、1年前のバックナンバーというのは、大変な強みになります。なぜなら、"普通の人"はいまやその記事にアクセスすることができないからです。

 逆に、速報性の高いウェブニュースは、誰でもアクセスできるので、相対的にはあまり情報価値がありません。ジャーナリズム志向のブログ信者にせよ、新聞の最新記事のURLを貼って批評している限り、大いなる限界を抱えていると言わざるを得ません。

 繰り返しますが、情報の主戦場は、"速報性"から"蓄積されたバックナンバー"へと移行したのです。

   追記.当ウェブサイトも、明確に"バックナンバー蓄積志向"を宣言致します。既に、800字前後(?)のデジタル原稿を既に2300本以上掲載しています。

山田宏哉記
 
 2009.11.2
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