ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2401)

 【実務家の批評】ワーク・マネー・バランス

 大雑把にビジネス書を分類すると、「仕事」に関する書籍と、「お金」に関する書籍があります。

 前者は「いかに効率的に質の高い仕事をするか」ということに焦点を絞っていて、「仕事術」がその中核にあります。

 後者は「いかにより多くの収入を確保するか」に焦点を当てていて、ここで展開されているのは一種の貨幣・経済論です。

 そして僕の読書傾向は、明らかに仕事術から貨幣(≒情報)論へと重心移動しつつあります。

 宮仕えを終えた後に、「真心をこめて仕事に打ち込めば、道は開ける」といった精神論を読んでいると、正直、眠くなります。書いてある内容はさして間違っていないでしょうが、あまり乗り気がしません。

 何よりも、思考の方向性が「組織で働く」ということに一極集中してしまうのが、怖いところです。

 それよりも、「いかにより多くの収入(特に不労所得)を確保するか」という主題の方が、今の僕の興味関心にフィットしています。「楽をするために努力する」と言うと聞こえは悪いですが、これはシステムの設計思想そのものです。

 また、投資判断ひとつで、平均的な成人男子の数年分の年収を稼いだり、全財産を失ったりするのであれば、経済や貨幣に対する感度と判断力を高めることの大切さがわかると思います。

 「愚直に仕事に打ち込めば、自然と収入はついてくる」というのは、すべての人に当てはまることではありません。ワークとマネーを別物として、分けて考えることが必要な時代になりました。

 金銭的に悪い流れの渦中にある人にとっては、まずは自分の置かれた状況を客観視することが必要です。しかも状況を客観視するためには、一定のリテラシーが必要です。

 日本人には勤勉という美徳はありますが、貨幣(≒情報)に対するリテラシーはそれほど高くないので、差がつくポイントのように思います。

 追記.ものを言うのは、ワーク・ライフ・バランスより、ワーク・マネー・バランスです。

山田宏哉記
 
 2009.12.7
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