ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2437)

 【実務家の批評】今こそ、あえて理論を学ぶ

 実務家はややもすると、「勘」と「経験」に頼りがちです。そして、それは必ずしも悪いことではありません。何事においても、"場数を踏む"というプロセスを外すことはできません。

 そして、経験が豊富になれば、それほど的外れなことをすることもなくなります。

 「これで何か困ることがあるか」と言えば、特にないでしょう。僕からすれば、これこそまさに問題の核心です。

 何をするにも思想やコンセプトや戦略がなければ、ビジネスパーソンは下手をすると"便利屋"や"雑用屋"になってしまいます。

 組織の中で適応して生きていくなら、難しいことは考えずに、"便利屋"に徹するのも立派な戦略です。しかし、世の中全体を相手に戦っていくためなら、自分の仕事に対して、理論的な裏付けを持つべきでしょう。

 しかも今、ビジネス書の主流は、「自己啓発」と「仕事術」と「わかりやすい解説本」といった類のものです。内容も「ポジティヴ思考で全部、うまくいく」とかシンプルで直情的なものです。

 これらは小手先の技術は身につくかもしれませんが、思考を鍛錬する教材としては不的確です。

 逆に、一読しただけでは理解不能な難解な理論書は、敬遠される傾向にあります。しかし、こういう普通の人が避けて通る分野にこそ、自分を差別化するチャンスが眠っているように思います。 

 一言で言えば、「今こそ、あえて理論を学ぶ」ということです。実務家が、組織論や心理学や統計学を徹底的に学ぶ優位性は、どんどん高まっているように思います。

 注意してください。これらは「生き延びる」ために必要なのではありません。サバイバルのためなら、余計なことは考えず、経験に徹した方が得策です。

 そうではない。上記は「競争に勝ち続けるため」に必要なプラスαです。より厳密に言うなら、勝つための戦略とシステムを打ち立てるために必要な要素なのです。

 追記. 以上、ハートンホテル東品川からお届けしました。

山田宏哉記
 
 2010.1.9
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