ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2446)

 【実務家の批評】"頭を使う仕事"とは何か

 仕事を"頭を使う仕事"を"頭を使わない仕事"に分類するのは明らかに間違っていますが、一般的なイメージとしては成立していると思います。

 つまり、企画や分析などに従事するのが"頭を使う仕事"であり、コピーを取ったり、荷物を運んだりするのが"頭を使わない仕事"だと言うわけです。

 学生時代のアルバイトでは、僕はほぼ一貫して、"頭を使わない仕事"をしてきました。例外は編集アルバイトくらいです。

 指示されたように荷物を運んだり、決まった手順で掃除をしたりしていました。。

 別に、惨めだとは思いませんでした。単純作業に従事して、収入が少なければ、「これは悲惨な境遇だ」と思うかもしれません。

 でも、そんなことはない。業務が単純だろうと、収入が低かろうと、(演技ではなく)本気で卑屈になる必要はないでしょう。そして、そういう仕事は、誰かに必要とされています。

 僕は今、比較的、"頭を使う仕事"をしていると思います。学生時代とは、収入も段違いです。それでも、そのことに特別なプライドを持っているわけでもありません。

 世間には「"頭を使う仕事"は、"頭を使わない仕事"よりも尊くて、偉くて、やりがいがある」という考えがあります。ここまでハッキリ言う人はいないですけれども、内心、そう感じている人は多いでしょう。

 これは誤りです。貴賎の出る幕ではありません。何も建前で言っているわけではなく、僕は本気でそう思っています。

 ですので、社会に出る前の学生が「"頭を使う仕事"がしたい」というのを聞くと、非常に違和感を覚えます。言葉だけをみれば、別に非常識なことを言っているわけではありません。

 それでも、働く人間の姿勢として、何かが根本的に間違っているのではないかと思います。仕事を舐めているように見えてしまう。

 例えば、就職して職場で単純作業を命じられて「俺はもっと"頭を使う仕事"がしたいんだ」とか不満を燻らせるのがまっとうなプロフェッショナルの取るべき態度だとは思えません。

 まともなビジネスパーソンならば、"雑用"という言葉は使わないはずです。"頭を使う仕事"というのは、"雑用"の対義語のような存在で、避けるべき用語であり考え方だと僕は思います。

 追記. 職業に貴賎はありませんが、もちろん、需給の関係上、収入の多い・少ないはあります。当たり前ですが。

山田宏哉記
 
 2010.1.24
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