ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2460)

 【入院日誌】マナーの悪い老人

 入院中、同じ大部屋にいる御老人のマナーがよくなくて迷惑しています。

 もちろん、「ゴホゴホと咳き込む」とか「うなり声を上げる」といったことは、決して快適なものではありませんが、仕方がないと思っています。

 ここで言っているのは主として入院規則や社会生活に関わることです。

 例えば、携帯電話での通話は、所定の場所で行うことになっています。同室の御老人は、構わず通話を禁止された場所で通話をしています。

 22時の消灯時間後には禁止されているTVも観ています。さらに、深夜にビニール袋をゴソゴソとして、大きな音を立てています。

 細かいことですが、隣でこういうことをされると、ことごとく睡眠を妨げられます。おかげで入院してから、まともに熟睡できていません。

 おそらく、日常生活の中ではあまり他人から注意されない立場にあるのでしょう。歳をとったばかりに、自分の欠点を指摘されることもなくなる。そして多くの場合、それは人を堕落させます。

 僕も模範的な入院患者というわけではなく、余計なトラブルにも巻き込まれたくはないので、本人に対して注意はしません。看護士も特に叱ったりはしていないようです。

 日本社会においては、老人に対して「マナーが悪い」などと公然と指摘するのは、社会通念上、あまり望ましいことではありません。建前としてであっても、「敬老の精神」があります。

 ただ、別に今の若者の肩を持つつもりはありませんが、「最近の若い者は…」という台詞を言う資格がある老人は、それほど多くないように思います。

 ことごとく規則を無視して、1日中TVをボケーッと見ながら、働く若者に対して何やら説教的な訓話を語ることができるのか。

 正直、「気の毒だなぁ」と思います。きっとマナーの悪い老人は、こんな風に「あの人には、もう何を言っても仕方がない」と思われて、見捨てられていくのです。本人だけが気付かぬうちに。

   追記.以上、前代未聞の老人論でした。

山田宏哉記
 
 2010.2.26
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