ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2466)

 TV番組『料理の鉄人』のおもしろさ

 かつてフジテレビ系列で『料理の鉄人』(1993〜1999年)という番組が放映されてました。現在もアメリカでは、"Iron Chef America"として『料理の鉄人』のコンセプトを引き継いで放映されているようです。

 僕は今、この番組をまとめて熱心に観ています。リアルタイムでは、時々目にしていたくらいですが、非常に質の高い番組です。

 既に知っている人が多いでしょうが、番組の流れを大まかに記しておきます。

 毎回、"挑戦者"が現れ、「どの鉄人と対決するか」を決定し、料理の素材が発表され、実際に料理を作り、最後に試食と勝利判定が行われるというものです。

 僕の観察では、この番組をおもしろくしている点は次の3点にあります。

 1.一流の料理人の腕を目の当たりにすることができる。

 2.素材の発表が直前まで知らされていないこと。

 3.調理の制限時間が原則60分であること。

 項番1は最も重要な要素です。卓越した職人技というものは、分野を問わず、ただそれだけの理由でじっくりと観る価値があります。

 僕自身は、熱湯か電子レンジでできる自炊しかしませんが、それでも食の可能性を感じることができました。

 項番2があることによって、挑戦者も鉄人も、"事前に用意した得意料理"を披露することができなくなります。ある意味、即興というか、その場の創意工夫によって、料理を作ることになる。

 このように「あり合わせの素材で何とかする」ことをブリコラージュと呼んだりします。そして、人間が創造性を発揮するのは、このような制約された状況下においてです。

 項番3も同様に料理人に時間という制約を課すものです。相対評価による勝負である以上、このようなルールは対決を引き立てる役割を果たします。

 そして、おそらく膨大な番組制作費がかかっていたはずです。

 それにしても、料理人の修行のエピソードには、どこか胸を熱くさせるものがあります。料理修行のために、単身、ヨーロッパに渡り、皿洗いから始めたなどという挿話を聞くと、ただそれだけで応援したくなります。

 何はともあれ、『料理の鉄人』は、おそらく日本のTV史上に残る名番組のひとつだと思います。

追記.TVは嫌いでも、やはり観るべきものは観ておかなくてはならないでしょう。

山田宏哉記
 
 2010.3.2
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