ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2499)

 情報プラットフォーム戦線に異変あり

 民放ラジオ局によるサイマル放送(異なる媒体で同一番組を流すこと。今回は3/15よりウェブで聞けるようになった)の開始は、画期的な試みでした。

 これまでもラジオ番組はポッドキャストやインターネット中継として配信されてきましたが、音楽の部分は省略されてきました。しかし今回は、音楽や広告を含めて、そのまま放送するこということになりました。

 これは間違いなく、情報プラットフォーム戦線に異変をもたらすでしょう。

 まず、これまでラジオという媒体には電波という制約がありました。電波の受信状況によって、音質に大きなゆらぎがあったわけです。これは、音楽番組にとっては死活的なことです。

 ウェブによる放送により、この問題は解決しました。どの放送局であっても、PCで非常にクリアな音質で聴くことができます。

 これはラジオに大きな変革をもたらします。これまで、ラジオの典型的な聴取者は、トラックドライバーなどでした。だからこそ、交通情報をこまめに伝えていました。

 これがPCで作業をしながらラジオを聴くのが一般的になると、聴取者層は変わります。必然的に番組内容も変わってきます。

 また、大きいのは広告の問題です。これまで企業にとって、ラジオに広告を出すということはあまりメリットがありませんでした。

 しかし、ラジオ番組がウェブでも放送させるとなると、広告を出すメリットも増大します。

   さらに重要なことは、情報プラットフォームの世界において、"ウェブに接続したPC"が持つ汎用性と優位性が決定的になることです。

 もはや、"ラジオ専用機"を持つ必要はなくなります。ごく近い将来、家電製品としての"TV専用機"を持つ必要もなくなるでしょう。

 かつてワープロ専用機は、PCの汎用性の高さに前に敗れ、淘汰されました。そして今また、PCの汎用性の高さが、"ラジオ専用機"と"TV専用機"を駆逐しようとしています。

 いずれ、TV局も広告収入などの落ち込みから、ウェブでのサイマル放送を始めざるを得なくなるでしょう。

 これに比べれば、地上波デジタルなど、もはやどうでもいい問題です。アナログ派の停止によってゴミと化すのは、何もブラウン管のTVだけではなく、"TV専用機"そのものです。

 情報生活をする上においては、もうウェブに接続したPCさえあればいいのです。

追記.いよいよ、IT革命も本番を迎えつつあります。 

山田宏哉記
 
 2010.3.19
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