ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2515)

 "リスクの高い生き方"の経済合理性

 最近の若者は、リスクを避ける傾向にあります。

 銀行に100万円の貯金があったとします。ここでゲームをする。60%の確率でこの100万円が2倍になるが、40%の確率で全額没収される。

 さて、やるか、やらないか。経済合理的に考えれば、まよわずこの勝負をするべきです。何しろ、期待値は120万円です。さらに言うなら、1,000万円くらいの借金をしてでも、このゲームに資金を投入するべきでしょう。

 ところが、実際にはこのゲームをしない人が多いでしょう。なぜなら、全額を没収されるのが怖いからです。だから、経済合理性を無視してでも、リスクを回避しようとする。

 日本人が損をしている典型例として挙げられるのが、生命保険です。"隕石が直撃したときのための生命保険"に掛け捨てで月1万円を払っている人がいたら、「バカだなぁ」と思うでしょう。

 しかし、程度の差こそあれ、日本人はこれと同じようなことをやっています。「まさかのときのため」に支払うコストが、経済合理性を超えて高すぎるのです。

 最近では、若者の大企業志向が強まり、終身雇用を望む声が強まっています。

 だからこそ、チャンスがあります。今の日本では、例えば「起業する。生命保険には入らない。年金は支払わない」というリスクの高い選択をする人の方が、経済合理性があると言えます。

 なぜなら、それだけ希少価値があるからです。  

 冒頭のゲームを例に考えると、この条件では誰も勝負しないとなると、条件を引き上げざるを得なくなります。

 例えば、成功報酬を2.5倍に高めるとか、成功確率を70%に引き上げる、などのことです。「60%の確率でこの100万円が2倍になるが、40%の確率で全額没収」でも勝負をやっていた人にとっては、朗報以外の何者でもありません。

 起業に関しても、需要と供給の関係から、報酬や条件がどんどん向上しているといえます。日本では、リスク回避的な優秀層は、「まさかのときのため」に大企業に就職します。

 繰り返しますが、リスク回避のためには、過重なコストがかかります。

 日本においては、その逆張りで、リスクを取る生き方をする方が経済合理性に適っています。

追記.チャンスは、国民の間に非合理なリスク回避策が発動されたとにあります。 

山田宏哉記
 
 2010.3.31
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