ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2517)

 セブン-イレブン、嫌な気分

 古川拓也+週刊金曜日(著)『セブン-イレブンの正体』(金曜日)を読了しました。

 コンビニエンス・ストア(以下、コンビニと表記)は僕たちの生活にとってなくてはならない存在になっています。その一方で、コンビニが抱える負の側面については、あまり知られていないように思います。

 本書によるとセブンイレブンは、弁当換算で1日あたり36万食分(1個\500で計算)の食料品を廃棄処分しています。

 ファーストフード店やコンビニによる食品の大量廃棄は、人間の素朴な倫理観にそぐわないように思います。

 賞味期限切れの食品も、捨てるくらいならば、ホームレスや生活保護世帯に分け与えた方がまだ倫理的です。

 「食中毒になったら大変だ」という言い分は、あくまで「自分たちの責任問題になるのが嫌だ」という意味です。別にホームレスが餓死しようと、自分たちの責任にならないから構わないということでしょう。

 また本書によると、セブンイレブンにおいては、本部の権限が強く、各店舗の店長はほとんど権限を持っていません。各店舗に値引きの権限がないことは、マスメディアでも報道されました。

 また、本部側は各商品の仕入れ価格を、各店舗の店長に知らせることを頑なに拒否しているようです。これは裁判沙汰になっているようです。

 実際のところ、カップ麺の仕入れ価格が何と約\120だったりします。これは量販店の販売価格(\100とかで売っている)よりも高い。

 どういうことかと言うと、例えば、本部が業者から\50で仕入れたカップ麺を、各店舗に\120で売りつけ、差額の\70をマージンとして抜くというようなことをやっています。しかも、オーナー経営者に対しては、「差額は存在しない」と言っているようです。

 そして、消費者が\160でカップ面を買ったら、粗利の\40のうち、さらにフランチャイズ料みたいな名目で\20とかを徴収するわけです。

 そもそも、セブンイレブン各店の店長というのは、セブンイレブンに入社1年目の新入社員が"現場研修"として行うものであって、決して高い地位にはありません。

 その他、セブンイレブンの周辺にある、納入業者、弁当工場、運送会社などは、悉く過酷な労働現場となります。搾取のシステムとしても、よくできているといえるでしょう。 

 重要なことは、これは他人事ではなく、僕たちが望んだことでもあるということです。消費者としての僕たちは、自分が便利な生活を送るために、食品を大量廃棄し、コンビニ店長が過労死するような社会システムを、暗に望んでいるのです。

 出版物にとって、コンビニという販売流通経路は大きいので、"コンビニ批判"は一種のタブーと化しています。そんな中、本書は「よくぞ、出版した」という部類に入るでしょう。  

 別に社会正義を気取るつもりはないけれども、僕たちが"便利な生活"を送ることで、どこかにしわ寄せが行っているということは、覚えておいた方がいいと思います。

追記.欲を言えば、コンビニが万引き問題をどう処理しているのかについても、書いてほしかった。

山田宏哉記
 
 2010.4.2
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