ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2520)

 覚醒剤の使用は"コンプライアンス違反"です!

 企業にとっても、個人にとっても、"生産性の向上"が喫緊の課題となっています。

 生産性向上のための、とっておきの秘策があります。それは、従業員に覚醒剤を使用させることです。

 森巣博(著)『越境者的ニッポン』(講談社現代新書)によると、戦前の日本では国家が覚醒剤(ヒロポン)の使用を奨励していました。生産性が著しく向上するためです。

 戦場の兵士たちが、死の恐怖を克服するために(本来、死の恐怖はあった方がいいのですが)、麻薬に手を出すことはよく知られています。

 日本では、それが1951年を境に、覚醒剤は"違法薬物"とされ、その所持や使用は、"犯罪"とされました。

 なので今、企業の生産性向上のために覚醒剤を使用したら、"コンプライアンス違反"になります!

 覚醒剤も警官が使用すれば「資料」になるようですから、いい加減なものです。

 しかし、抜け道もあります。現在、精神病患者に処方する薬物の中には、リタリンと呼ばれる合法ドラッグがあります。リタリンの成分は覚醒剤に似ていて、同じような作用をします。

 企業の営業担当者などの間で、リタリンの使用が広がったことは、一部で問題となりました。ハイテンションを求められる職種に、気質的にそうではない人が適応しようと思ったら、薬物の使用に頼ることになるのかもしれません。

 今では、リタリンの処方が厳しく制限され、精神昂揚系の合法ドラッグの主戦場も別のところに移っているようです。

 オリンピック選手であれば、カフェインの摂取もドーピング違反になります。カフェインをとると、頭が冴え、反応速度が上がることは誰でも承知していると思います。

 従って、厳しく言えば、コーヒーを飲みながら仕事をしているビジネスパーソンは、ドーピング違反で失格とも言えます。

 学生時代、僕は武術の試合をする前に、反応速度を上げるため、意図的にカフェインを摂取していました。これは当然の選択か、卑怯だったのか、今でも判断がつかないところがあります。

 ある時代に推奨された薬物が、ある時代には違法になる。

 「大麻所持の大学生を逮捕」に大騒ぎをするマスメディア報道に右往左往するのは、あまりに底の浅い見方ではないでしょうか。

 結局、法律がどう制定されているかは別として、人間と薬物のつきあい方は、明確な線引きができません。

 戦前の日本で、国家が推奨する覚醒剤で"生産性を向上"した人は、もう生きてはいないでしょう。

 結局、薬物(煙草・アルコール・カフェインを含む)とのつきあい方は、最終的には自分の責任において判断するしかないのです。

追記.個人的には、合法であっても、精神昂揚系の薬物はやめた方がいいと思いますけどね。

山田宏哉記
 
 2010.4.4
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