ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2526)

 【実務家の批評】自社株購入のススメ

   経済の勉強をするためには、株式投資をするのがよいと言われます。何事においても、「当事者になる」というのは、効率的な学習法です。

 「経済がサッパリ」という人でも、日経平均株価が自分の財産と直結していれば、経済ニュースを見る目も真剣になることでしょう。

 株式投資の中でも特に効果的なのは、自社株の購入です。

 総合的に判断すると、僕はビジネスパーソンは、可能であれば自社株を購入した方が得策だと思います。

 一般に、自社株の購入はあまり勧められません。仮に会社が倒産したとき、勤労所得と株式価値の両方を失うことになるからです。

 リスクヘッジの観点からは、確かに上記のような問題があります。

 しかしそれを上回るメリットが存在します。

 ビジネスパーソンが自社株を購入する最大のメリットは、”経営サイドの思考”と”外部の視点”を獲得できる点にあります。

 大企業になるほど、経営者と担当レベルの従業員の間に、価値観や認識のズレがあります。

 わかりやすい例では、経営サイドが「人件費を抑えたい」と思う反面、従業員は「給料を上げてほしい」と思ったりします。

 また、担当クラスの従業員は、経営者のメッセージを精査したり、吟味することもあまりないでしょう。話半分に聞き流す程度だったりします。

 これが投資家であれば、投資先企業の経営者のメッセージは、案外、真面目に受け止めるものです。

 また、外部の人間からの方が、その企業の問題点がよく見えるということも日常茶飯事です。

 つまり、自社株を購入することで、より上位の視点から勤務先の会社を認識できる環境を作ることができるわけです。

 普段の仕事も、「上司に気に入られるため」ではなく、「会社の利益に貢献するため」へと自然とシフトするでしょう。

 勤労者と投資家では、自ずと視点が異なります。同じ新聞を読んでも、注目する記事が異なります。

 僕に言わせれば、「だからこそ、やる価値がある」ということです。

追記.もっとも残念ながら、「自社が投資に値しないひどい会社だ」と感じる場合は、やめておいた方が賢明でしょう。

山田宏哉記
 
 2010.4.9
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