ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2531)

 社会人たるもの、日経新聞を読むべきか?

   知人に「就活中は日経新聞を読んでいたが、内定が決まったら購読をやめた」という人がいます。これには、「これからというときに、逆だろう」という反応が普通でしょう。

 確かに、内定を得て、これから社会人という場面で、あえて日経の購読をやめるというのは、なかなか理解しがたい発想ではあります。

 しかし、よくよく検討すると、これは極めて合理的な考え方であることがわかります。

 就活生にとっては、「どの企業に就職するか」ということが、まだ未定です。従って、より多くの情報を収集し、その中から自分の希望に沿う企業に応募することになります。

 特に、学生は"隠れた優良企業"をほとんど知りません。大学生に就職希望先のアンケートをとれば、BtoB企業よりも、BtoC企業の方が上位にランクされます。  

 そういう場面で、日経新聞は威力を発揮します。定期的に日経を読んでいれば、今、勢いのある企業や業界もわかるでしょう。

 同様の理由で、株式投資をしている人にとっても、日経新聞は役に立ちます。

 では、企業に勤めている会社員はどうか。結論から言うと、普通の会社(マスコミと金融を除く)に勤めてるの管理職未満の人にとっては、日経新聞はそれほど読む必要はありません。

 「社会人たるもの、日経新聞を読んで、"世の中に対する見識"を持つべき」などというのは、建前に過ぎません。

 別に"世の中に対する見識"などなくとも、上司に言われた仕事を黙々とこなすことはできます。むしろ、"世の中に対する見識"などない人の方が、高いパフォーマンスを示すこともしばしばです。

 つまり、学者が大学教授のポストについたら論文を書く必要がなくなるように、学生も会社員になったら新聞を読む必要がなくなるのです。

 本当に、論文を書いたり、新聞を読んだりするのが必要なのは、"地位を獲得するまでのプロセス"においてです。

 従って、冒頭の「就活中は日経新聞を読んでいたが、内定が決まったら購読をやめた」という挿話は、極めて合理的であると判断できます。

追記. ブルーカラーの職種に関しては、「何をか況んや」です。僕自身、百貨店の床をモップがけするのに、日経の記事は全く役に立ちませんでした。

山田宏哉記
 
 2010.4.12
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