ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2535)

 【実務家の批評】ヒューマン・エラーは必ず起こる

   ヒューマン・エラーは必ず起こります。ミスを減らすことはできても、完全になくすことはできません。

 ですので、正確な記録や計算が必要な分野は、なるべくコンピュータに任せてしまった方が賢明です。

 社会保険庁の年金管理がメチャクチャになったのは、ヒューマン・エラーを想定していなかったからです。

 もっとも、社保庁や社会保険事務所で働く職員は、もともと勤労意欲が低いことで有名でした。

 「コンピュータへの文字入力は1日5,000字まで」とか「連続してPCで作業するのは45分まで。その後は15分の休憩」みたいな労働協約を結んでいた人たちです。

 不運は重なりました。

 本来であれば、そういう人たちが作業をしても、システム運用面で不備が出ないのが理想です。

 しかし、残念ながら社保庁の情報システムは、人間に対して「完璧であること」を要求したようです。

 不思議なことに、役人的な思考法に従うと「絶対にミスをしていけない」がなぜか「ミスは存在しない」とか「ミスは存在した場合のことを考えてはいけない」に転化するようです。

 紙ベースの書類管理では「字が読めない、読み間違えた」とか「書類を紛失した」というトラブルが想定されます。

 また、紙の書類をコンピュータに転記入力する際には、「タイプミス」が想定されます。

 同姓同名の人物や女性の姓変更も、特に気をつけなければならない点です。

 人間には、そういうケアレスミスを完全になくすことはできません。そのこと自体の良い悪いを言っても仕方ありません。

(根本的な解決策としては、人間の脳の"電脳化”くらいしか思いつきません。)

 だからこそ、お金が絡む問題に関しては、複数の人が何重にもチェックしなければ、危なくて仕方がありません。

 もちろん、ミスを起こしてはいけない場面で、ミスが起きた場合、被害を最小限に抑える対処方法を想定しておくべきなのは言うまでもありません。

 従って、実務担当者の「個人的注意力」や「勤勉さ」に多くを期待するのは、制度設計として根本的に間違っています。

 想定すべき実務担当者の人間像は、どちらかというと「怠惰で気の利かない凡人」なのです。

追記.以上、大井町のバーミヤンにて、ポメラで執筆しました。

山田宏哉記
 
 2010.4.14
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