ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2541)

 就職に役立つアルバイトはあるか

   僕は今、曲がりなりにも、民間企業でホワイトカラーの職種についています。要するにスーツを着て、デスクワークをやっています。

 学生時代には、割とアルバイトをしていた方だと思います。

 日雇い労働、掃除屋、出版社での編集アルバイト、紀伊國屋書店の書店員(2週間で辞めた)、大学院でTAなどもやっていました。

 普通のアルバイトとは言えませんが、ビラ配りみたいなこともやったことがあります。

 その時の経験が今、どのように役立っているか。

 まず、最も役に立って"いない"のは、間違いなく試験監督のアルバイトです。学生の方は「試験監督はおいしい」と思っているかもしれない。

 でも、その場に突っ立っているだけで、1日1万円近くお金を貰うような癖をつけるのは、ハッキリ言って有害だと思う。

 「その場にいるだけでいい仕事」というのは、いくらでも他に換えがきく仕事でもあります。

 さて、塾講師や家庭教師は大学生に人気のアルバイトだけど、僕は個人的にあまりオススメしない。

 誰もが納得するような理由は言えない。ただ、「せっかく大学生になったのに、社会人ではなく、高校生と接するようなアルバイトをするの?」と突っ込みを入れたくなる。

 そういう「姿勢が”後ろ向き”なところ」を実務家は敏感に感じ取る(もっとも、僕もいまだに趣味で大学入試の現代文の問題は解いたりするけど)。  

 僕の場合、出版社での編集アルバイトの経験は比較的役に立っています。

 コピー取りやお使いといったオフィスでの「雑用」(この言葉は好きではないのですが)を積んだことは、今でも随分と役に立っています。

 誤字脱字がまずいのは、別に出版物の世界だけじゃなくて、普通のビジネス書類でも同じです。校正の経験は、実際的に使えます。

 それ以上に強烈に印象に残ったのは、編集者が業績責任を負っていて、売り上げや利益を達成できなかったら、徐々に会社に居場所がなくなっていくこと。

 日雇い労働や掃除屋といった肉体労働も、意外にも糧となっています。汗水を垂らして作業をすることで、「働くということ」に対する覚悟みたいなものが身に付いたと思います。

 もっとも以上のようなことは、あくまで結果として言えることです。特に「就職に役立つから、このアルバイトをしよう」などと思っていたわけではありません。

 僕の場合、一人暮らしをしていて、単純に生活費を稼いでいただけです。

 しかも、アルバイト経験は、主として「就職後」に役立っているわけで、就活の面接などとはほとんど関係ありません。

 だから結論。「就職に役立つアルバイト」などという発想そのものが甘い。そんな態度だから、結局、内定を取り消されたりして、痛い目にあうのだ(あっ、自分のことだ)。

追記.むしろ「大学時代、徹底的に勉強してきました」と断言することに、なぜ恥じる必要があるのか。

山田宏哉記
 
 2010.4.19
 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ