ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2544)

 【実務家の批評】過剰レイアウトを防ぐ

   プレゼンテーション資料の作成には、"正解"というものがありません。パワーポイントのような資料作成は、時間をかけようと思えば、いくらでもかけることができます。

 また、下手をするとそれで意味のある仕事をしたような気になってしまいます。

 通常の資料であれば、A4の用紙1枚におさめることが美徳ですが、プレゼン資料では1ページ1メッセージが基本とされます。

 例えば1ページに、30ポイントくらいの文字で「IT化が必要」と書いてあるだけで、他は余計なイメージや装飾だったりします。圧倒的に情報密度が薄い。コストパフォーマンスも悪い。

 プレゼン資料の矢印が動いたり、画面が鮮やかに切り替わることは、本来「ある主張が妥当かどうか」と何の関係もありません。しかし、そこを何となく「資料が綺麗だから、何となく正しいだろう」みたいな印象付けを狙っています。

 なぜなら、これらは論理や数字だけでは理解できない人向けに感覚的に訴求するものだからです。活字をマンガにするようなものです。だから、「クラウドでソリューション」といったいい加減な言辞でも、何とか切り抜けられてしまう。

 また、プレゼン資料がやたら凝っていると、つい話す人間よりも、資料の方に注意が行ってしまいます。人前で話す際、「資料に頼る」というのは、ひとつの弱さです。これも落とし穴のひとつです。

 これはもともと、パワーポイントは「話し下手」を補うためのツールだったことと関係があります。中身がなかったり、論理が甘くても、「過剰レイアウトの"印象操作"によって切り抜けよう」という魂胆が見え隠れします。

 結局、僕が言いたいのは「(なるべく)過剰レイアウトの資料を作らない、過剰レイアウトの資料に騙されない」ということです。

 実務的には、大抵のことは、生の数字が揃っていれば事足ります。パワーポイントの資料を作り始める前に、よくよく「生の数字だけで充分ではないか」という吟味をするべきでしょう。

追記.以上、当たり前と言えば、当たり前のことです。

山田宏哉記
 
 2010.4.21
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