ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2545)

 最近の若者は意外と優秀である

   人間、自分よりも年下の人を評価することはなかなか困難です。本能的に「下克上」を警戒するからではないかと思います。

 昭和生まれの人は、生まれたときからPCやインターネットに親しんできた人たちに、到底ITスキルでは叶わないでしょう。

 僕の感覚では、1970年生まれが境界線です。それ以降の世代は情報社会に適応でき、それ以前の世代はあまり適応できなかったように思えます。

 もちろん、個人差はあります。

 今の30代中盤の社会人は、エクセルの関数をバリバリ使いこなすことができるでしょう。反面、40代、50代となるとエクセルでの単純な四則演算も怪しくなるケースが散見されます。

 例えば、スプレッド・シートのセルに「35」という数字表示されているとします。それがヴァリュー(値)なのか、ファンクション(関数・数式)なのかを区別するのは、基本中の基本です。

 今の若いビジネスパーソンには、こんな話、当たり前すぎて退屈でしょう。

 しかし、おそらく50代以降の社会人にとっては、こういう常識は必ずしも自明のことではありません。

 そこで出てくるのが、毎度おなじみの「最近の若者は、一日中PCに向かっているせいで、生身のコミュニケーション能力に欠け・・・」という話です。

 これは2重の意味で間違っています。

 まず、「メールよりも電話。電話よりも対面のコミュニケーションの方が素晴らしい」というのは、実はコミュニケーションそのものが目的となっているときの話です。友人や家族との生活場面では、全くその通りでしょう。

 ビジネスとして、実務を遂行するという目的に照らすならば、ふさわしい伝達媒体は変わってきて当然です。

 特に、電話や直接訪問は、相手の時間を拘束します。そのことをよく考慮した方がいいと思います。

 特に用件もないのに、飛び込み営業で「ご挨拶に参りました」というのを、「礼儀正しい」などと誉めるのはもはや時代錯誤でしょう。

 例えば、口頭表現では一定の割合で「聞き間違い」というヒューマン・エラーが発生します。従って、正確な金額や商品番号の伝達は、原則、書面で行うべきでしょう。

 そういうリテラシーは、明らかに今の若い人の方が高い。

 さらに言うならば、実は対面でのコミュニケーション能力も、実は若い人の方が高いように思います。

 対話能力というのは、ウェブとリアルの二項対立でとらえるべきものではなく、相関関係を持った車の両輪です。

 「文章能力があがるにつれて、喋るのが下手になる」などということはありません。

 年輩者が若者の対人能力にケチをつけるのは、あくまで「比較的、能力格差が少ない」分野だからです。

 本当はITスキルも対人能力も、若い人の方が高いのです。少なくとも、後輩に対してはそのような姿勢で接した方が身のためというものです。

追記.「最近の若者は・・・」という物言いに対抗し、個人的には「最近のご老人は、1日中、TVばかり見ている」と小言を言いたい。

山田宏哉記
 
 2010.4.21
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