ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2566)

 "発言フラグ"入門

 一般に、その後の展開を引き出す記号を"フラグ"と呼びます。

 僕は「この後どういう本文が続くか」を宣言する記号を"発言フラグ"と呼んでいます(適当な用語がないので造語。この意味でのグーグル検索ヒット0件)。

 僕のツイッターへの投稿文を読んでいる人にはお馴染みの記号でしょう。

 「備忘録」と宣言した後に続くのは主として個人的なメモ書きですし、「抜書」と宣言した後に続くのは、書物からの引用文です。あるいは、「黒冗談」の後に続くのは、ブラック・ジョークです。

 なぜ、わざわざ発言フラグを立てるのか。一言で言えば、合理的だからです。

 本文は予め属性(メモなのか、主張なのか、余談なのか、質問なのか)を宣言してから書いた方が読者にとって瞬間的に判読できます。そのように書き分けたほうが、言語能力の訓練にもなります。

 ひたすら、負荷と情報価値の低い"地の内面"だけを投稿し続けるのは、僕は勧めない。他人を説得する形式での表現はできませんが、大雑把に言うと「自家中毒になるから」です。

 僕が、"発言フラグ"の重要性に気付いたのは、(著作権法に触れない)私的利用の範囲内で、新聞や雑誌の記事をメールで送付することが多かったからです。

 重要連絡というわけではなく、「参考までに…」くらいの意識です。

 そんな時、悩ましいのが「メールのタイトルをどうするか」という問題です。

 例えば、いきなり「倒産」というタイトルのメールが送られてきたとする。本文には新聞記事が貼り付けてある。

 自分の勤務先の会社や取引先の話だったら大変なので、目を血走らせて読む。ところが、どうも自分の仕事に関係のありそうな話ではない。

 送信者に真意を確認してみたら、「いやぁ、最近は景気が悪くて企業の倒産件数が増えているようですね」という話だった。これでは「いい加減にしろ」という話です。

 そこで考えた。

 僕は、新聞や雑誌の記事をメールで送る際は大抵、「【参考】[日経掲載]○○に関する記事」のように表記します。本文は大抵一行で「参考までに送ります」です。

 なるべく「このメールは重要な連絡事項ではないですよ。返信の必要もありませんよ」ということをタイトルを見ただけで、瞬間的に判別できるようにしています。

 善意で何かをするときは、なるべく相手に対して"押し付けがましさ"や"負担感"を与えないように配慮することが肝要です。

 メールのタイトルに【大至急】とか【重要!】といったフラグを立てる人なら、たくさんいます。でも、わざわざ「このメールは重要ではない」というフラグを立てる人はほとんどいません。

 単純なのは、本文に入る前に重要度を表現する"発言フラグ"を噛ませることです。「重要」「参考」「余談」などフラグの後に本文を書く。これならハードルは高くありません。

 あるいは、文面でお礼をするときは、【感謝】【御礼】などのフラグを立ててから本文に入る方が、相手に対して配慮があると思います。

 もちろん、情報の価値判断や具体的にどの記号を使うか、という部分は自分なりの工夫で充分です。

 まぁ「重要。おはようございます」とか投稿する人がいたら、結構、シュールではありますけど。

追記. 以上、前人未到の領域(主観的観測)を強引に言語化しました。

山田宏哉記
 
 2010.5.7
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