ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2568)

 牧野武文(著)『Googleの正体』の覚書

 牧野武文(著)『Googleの正体』(マイコミ新書)を読了しました。重要な記述が含まれていましたので、適宜引用しながら、私なりの気付きや考えをまとめて置きます。

<グーグルがターゲットにしているのは、近所にあるスーパー、専門店、レストランなどであり、従来は新聞の折込チラシや野外の看板広告などを活用していた人たちである。>(P52)

 僕たちは広告費と言うと、ついTVのCMや新聞広告、ラジオやインターネットの広告に限定して考えてしまう。そういう大雑把な認識では見落としてしまうものがある。

 インターネットの登場にとって、最も被害を受けたのは、おそらく"電話帳の広告"でしょう。

 グーグルが、近所にあるスーパー、専門店、レストランなどを顧客ターゲットにしていることを考えれば、なぜグーグルが"地図事業"に熱心なのかも理解できるでしょう。

<トヨタ自動車が日本でトップクラスの自動車メーカーになれたのは販売店が全国津々浦々にあるからであり、パナソニックがトップクラスの家電製品メーカーになれたのは、全国にナショナルショップを展開、組織化できたことが大きい>(P61〜62)

 "流通"の問題は、一般消費者には見えづらい部分ですが、ビジネス的には、益々重要になっています。自宅でのオンライン・ショッピングが成り立つためには、誰かがトラックで商品を運ばなくてはならないし、その商品を保管して置くための"倉庫"も必要です。

 脱物質化した"情報の流通"に関しても、例えばアップルが狙っているのは、iTunesやapp storeのような"流通経路そのもの"であると推察されます。

<携帯電話からの検索の特徴は、テレビで放映されたキーワードが大量に検索されることだ。仮に、ある番組が無料で着うたを配布するなどという告知をしたとすると、その番組名が検索キーワードの上位5位以内に入ることはほぼ確実。>(P111)

 モバイルでの検索される用語は、PCで検索される用語とズレがあります。これは重要な認識です。

 モバイル検索の特性は、"消費と直結している"ということです。食べ物の名前と自分の現在位置を検索にかけて、近所の飲食店を探す場合などが、その典型例です。

 <世界で自分のことをいちばん理解しているのは、家族でも恋人でもなく、そして自分でもなく、実はグーグルであることがよくわかる。>(P124)

 ある人が検索した用語の履歴を見れば、その人のおおよその関心領域を知ることができます。一昔前は、「本棚を見れば、その人がわかる」と言われました。現在はそれがグーグルに変わったようです。

 <「先進国」という既得権益の上にのっかって一部の人だけが豊かな生活を楽しんでいるのはアンフェアなことになるのだろう。>(P195)

 グーグルのアンドロイドOSが衝撃的なのは、「PCやスマートフォンのような情報端末が途上国の貧しい人々にも手が届くものになる」という点においてです。

 ウェブにアクセスできるようになれば、発展途上国に生まれても、先進国の人間と情報面で対等に戦うことができるようになります。そして、この方が"より公平な世界"だと言わざるを得ません。

 日本人は「先進国に生まれた」という既得権益の上で豊かな生活をしています。日本人自身にその自覚はほとんどありませんが、冷静に考えれば、その通りなのです。 

追記.引用文をツイッターで紹介した段階で、著者の牧野武文氏本人にRT(リツイート)されて、ビックリしました。今は、そういう時代なのですね。

山田宏哉記
 
 2010.5.9
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