ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2574)

 ブラックジョークの訴求力

 私が本日、ツイッターに投稿した以下のブラック・ジョークが割と"好評"だったようです。

 <黒冗談。昔から、海兵隊は教養のない荒くれ者がいくところ、と相場が決まっている。犯罪率が高いのは公然の事実。沖縄県民が海兵隊員の"基地外活動"を嫌がるのは当然である。>

 野暮なので、逐一、内容に関しての解説はしません。自分では割と"傑作"だと思っていたので、それが他者にも通じてよかったです。

 注目して欲しいのは、僕が予め「黒冗談」の"発言フラグ"を立ててから、"冗談"を書いていることです。

 要するに、これは"お笑いのネタ"(かなり際どいですが)であって、"確固たる政治的主張"ではありません。

 しかも、ブラックジョークの方が、"確固たる政治的主張"をするよりも訴求力を持つというのは、それこそ黒冗談ではないでしょうか。

 僕は、かなりブラックジョークが好きな方だと思います。

 カラクリを明かせば、「冗談を冗談として認識する」というのは、相当に高度な認知能力が必要とされます。人間以外には、まずできません。

 人間以外の動物は、冗談はおろか、"否定形"の言語も使えません。

 例えば、「蛇が来た」と表現することはできても、「蛇が来ない」と表現することはできない。

 人間でも「蛇が来ない」と言われたら、つい蛇をイメージしてしまうでしょう。これは本能と直結しているので、意識的にどうこうできることではありません。

 「〜してはいけない」と禁止されたことをしたくなるのは、原則、動物は否定形を理解できないのですから、当然です。これは、極めて重要なことなので、覚えておいて損はありません。

 冗談を理解するためには、さらに高度な認知能力が必要です。

 「太郎君の父さんの会社が倒産した」というダジャレを考えてみましょう。

 人間はまず、バカ正直に「太郎君の父さんの会社が倒産した」という文章の意味を解釈し、理解します。

 その後、この文章の真偽を精査し、その結果、ダジャレだと気付き、「なーんだ、冗談か」で笑って済ますことができる。

 極めて重要なのは、人間は一旦は、バカ正直に「太郎君の父さんの会社が倒産した」という文章の意味を解釈し、理解する点です。実は、この段階で、命題が認知機能にビルトインされる。

 その結果、「太郎君の父さんの会社が倒産した」という"事実"が潜在意識に組み込まれる。10年も経てば「そういえば昔、太郎君の父さんの会社は倒産したという話を聞いたよなぁ」と思い出すのが人間です。

 ですので、ジョークと断った上で、ついうっかりと"本当のこと"を打ち込むというのは、圧倒的な効力を発揮します。

 しかも、社会常識では「ごめんなさい、冗談です」で済ますことができるので、人間関係もそれほど損なわない。これは結構、悪賢いやり方なのです。

 僕の黒冗談フラグの後に続く文章は、正面から取り組むと危ないテーマが多いです。

 ただでさえ、日本の言説空間にはエスプリ(気の利いた諧謔)が欠けているので、多少の希少価値はあるでしょう。

 あくまで"冗談"ですが、念のため、事実関係は確認しているので、その点はご承知置きください。

 ただし、ジョークの文面に反映されているとは限りません。また、どこでどう笑うべきなのかの解説もしません。以上を踏まえた上で、乞うご期待。

追記.ちなみに、"基地外"は「きちそと」と読みます。政治的に不適切な読み方をする人がいけないので、念のため。

山田宏哉記
 
 2010.5.15
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