ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2601)

 池田信夫(著)『希望を捨てる勇気』覚書

 池田信夫(著)『希望を捨てる勇気』(ダイヤモンド社)を読了しました。

 著者の見解に賛成か否かは別として、アジェンダ設定として極めて重要な内容になっています。特に30代以下の若手ビジネスパーソンや学生にとっては、自分のキャリア戦略を考える上で必読と言って良い内容です。

 ここで言う"希望"とは、誰しも思い当たる節がある"日本的神話"と言い換えることができます。

 お馴染みの「よい大学に入学し、官庁や一流企業に就職すれば、"終身雇用"と"年功序列"に守られて、安定した人生を送ることができる」という固定観念も、"日本的神話"のひとつです。

 本書を読んで、僕が押さえておくべきだと考えた要点は、次の2点です。

 1. 既に日本は衰退局面に入っていること。

 2.個人として生きる上では、"失業"(解雇または会社倒産)を前提に物事を考えるべきだ、ということ。

 この2点を踏まえていない人は、人生を大きく誤ったり、"重大な不利益"を被る可能性が高くなります。

 項番1に関しては、日本の歪んだ人口構成を挙げれば充分でしょう。人口というのは、決定的に重要な指標です。"内閣支持率"などの無意味な指標を覚える暇があったら、世界(日本)各地の人口を押さえることを強くオススメします。

 項番2は、個人にとってより重要な問題です。

 ビジネスパーソンが実務に打ち込む上で常に意識するべきなのは、おそらく"汎用性"です。平たく言えば「自分の仕事は"市場"で通用するか」という意識です。

 構造上、従来以上に失業の可能性が高くなることは避けられません。

 "解雇"されることはなくても、会社が"経営破綻"するリスクは常にあります。

 そんなとき、"居酒屋コミュニケーション"で仕事を進めるようなタイプの人は、最も不利益を被ります。

 ビジネスパーソンは、ある程度、汎用性のある"専門技能の研鑽"に励むべきであって、自社でしか通用しないような"特殊技能"に過剰に肩入れをするのはリスクが高い。考えてみれば、当たり前のことです。

 "管理職"に昇進するのを敬遠する若手が増えている理由を、「気概が足りない」とか"草食系"と言うのは、おそらく間違っています。失業したとき、特に技能を持たない"管理職"というのはつぶしが利かないのです。

 日々の"忙しさ"を言い訳にして、時代の潮流やキャリア戦略を疎かにすると、結局、不利益を被るのは自分自身です。

 例えば、就職する会社を完全に間違えた場合、ショートカット・キーやエクセルの関数を習得したくらいでは、全く対応できません。

 大きな戦略を間違えたら、戦術あるいは戦闘の次元では、全く代償できないものです。具体例としては、第二次世界大戦の日本を想起すれば充分でしょう。

 そういう"大きな戦略"を間違えたくない人は、「考える素材」として、本書を一読されることを推奨します。 ウェブのユーザーを中心に、既に本書はよく読まれているようです。

(以上、1300字)

山田宏哉記

【関連記事】
高橋伸夫(著)『組織力』覚書 (2011.1.6)
渡邉正裕(著)『35歳までに読むキャリアの教科書』覚書
(2010.12.6)

 2010.6.10 (2011.1.9
一部修正 
 記事一覧へ戻る
 文筆劇場・トップ