ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2604)

 静かなる読書革命

 現在、静かなる読書革命が進行しています。

 日常的に読書の習慣がある人は、知的水準の高い人なので、あまり大きく騒がれることはありません。しかし現在、"読書関係者"にとっては、本当に衝撃的なことが起こりつつあります。

 本日、富士通のScanSnapと裁断機が埼玉の自宅に到着しました。

 早速、家にある書物の電子化(裁断&スキャン)に取り掛かりました。結論から言うと、これは衝撃的な体験でした。

 ScanSnapの性能の高さには驚きました。自動で次から次へと両面コピーしてくれます。1冊の本を"電子化"するのにかかる時間は、大体5〜10分くらいでした(但し、裁断機は必須です)。

 本日、"電子化"した書籍は以下の通りです。

 1.田坂広志(著)『営業力』(ダイヤモンド社)

 2.梁石日(著)『男の性』(幻冬舎アウトロー文庫)

 3.F.M.コーンフォード『ソクラテス以前以後』(岩波文庫)

 4.中沢新一(著)『リアルということ』(幻冬舎文庫)

 5.山田玲司(著)『非属の才能』(光文社新書)

 6.田坂広志(著)『仕事の思想』(PHP)

 7.疋田智(著)『快適自転車ライフ』(岩波アクティブ新書)

 8.桜井章一(著)『努力しない生き方』(集英社新書)

 9.中谷彰宏(著)『入社3年目までに勝負がつく77の法則』(PHP文庫

 10.佐々木俊尚(著)『ウェブ2.0は夢か現実か』(宝島社新書)

 11.佐々木俊尚(著)『グーグル』(文春新書)

 12.沢木耕太郎(著)『世界は「使われなかった人生」であふれてる』(幻冬舎文庫)

 電子化したのは読み返したい既読本が中心ですが、未読本も含まれています。また、ブックオフで「裁断用」に書籍17冊を購入しました。

 裁断してスキャンするには、書籍を「購入」する必要があるわけで、これは出版業界にとっても、大きな意味を持っています。何しろ、図書館や友人から借りた本を裁断して返却するというのは、ありえない選択です。

 物理的スペースの問題上、これまでは"本を買うメリット"があまり大きくなかった。図書館で借りて、読み終えたら返却した方が合理的でした。

 何もこれは、お金をケチっているわけではなく、日本の住宅事情では本の置き場所に困るからです。「本の置き場所」というのは、瑣末に見えますが、実は深刻な問題です。

 読了後、捨てたり、古本屋に売り払うくらいなら、借りて読んだ方が合理的でしょう。

 しかし、これからは「本は買って読む時代」になるでしょう。何しろ"電子書庫"の収納スペースは、実質的に無限なので、置き場所を心配する必要はありません。

 読み終えた本は、電子化して"電子書庫"に保管しておくのが合理的な行動になります。「紙の本ならでは」の味わいがあることは確かですが、そのために倉庫やビルを建てるのは馬鹿げています。

 書物の世界は長らく"紙媒体優位"でしたが、ここに来て、本の読み方、書物の保管のあり方が根本的に変わりつつあると痛感します。

 僕がScanSnapと裁断機で、書籍を電子化して保管している人がいることを初めて知ったのは、約2年前になります。当時は紙の書籍の電子化に懐疑的でしたが、その印象だけは強く残っていました。

 突端的なウェブユーザーにとって、書物の裁断とスキャンは既に常識に属することだったのでしょう。正直、僕は出遅れました。

 知的生産に関わる者にとって、場所を問わず、数百、数千冊の"自分の蔵書"にアクセスできるメリットは計り知れません。

 ごく近い将来、書物の世界でも、"電子媒体"が優位になるでしょう。おそらく、この流れは変えることができません。

 僕自身、本日より読書の標準形は「紙で読んで、電子媒体で保管」になりました。

山田宏哉記
 
 2010.6.14
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