ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2621)

 運命の高架下 秋葉原無差別殺人への道
 
 2008年6月9日に起きた秋葉原無差別殺人事件の現場を探訪した。"あの事件"について、「今だからこそ、書けることがある」という思いがあった。

 事件の現場となった交差点は、今では何事もなかったかのように人々が行き交っている。

【写真1】犯行現場となった交差点


 マスメディア等の報道によると、"彼"は、11:45に「秋葉原ついた」「今日は歩行者天国の日だよね?」と掲示板に書き込み、12:10に「時間です」と書き込んでいる。そして、実際に犯行が行われたのは、12:30過ぎとなっている。

 この間、"彼"は、どのような景色を見て、何を思ったのか。善悪を別として、純粋にそれを知りたかった。もちろん、それは結局のところ本人にしかわからない。

 しかし、「"彼"は、なぜ"あの交差点"に突撃したのか」は、動物的直感でわかった。

 秋葉原に到着してから犯行に至るまでの約45分、"彼"は「自分の死に場所」を探したのだろう。幸か不幸か、相応しい場所はあった。仮に私が犯人だったとしても、あの場所を選んだと思う。

 それでは、彼が犯行直前に見たであろう光景を紹介しよう。

 しばし秋葉原で彷徨ったであろう"彼"は、遂に突入する場所を決めた。

 「注意 制限高2.8M 2t車以上注意」というゲートが掲示された高架下である。奇しくも、"彼"が借りていたのも、2tトラックだった。

【写真2】「注意 制限高2.8M 2t車以上注意」のゲート



 犯行を決意し、このゲートを潜ったとき、"彼"の中で賽は振られたと思う。もう、引き返すことはできない。"あの交差点"までは一直線だ。

【写真3】運命の高架下



【写真4】高架下を抜けた光景



 高架下を抜けると、苦い日常の光景が広がっている。そこに希望はなかった。

 後は、一気にアクセルを踏み込み、全速力で突撃するだけだ。世界を黒く塗りつぶし、すべてを終わらせるために。

 山田宏哉記
 
 2010.7.4
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