ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2625)

"グローバルID"の未来像

  「全人類の一人ひとりに終身の個人ID番号を振り当てる」というアイディアを思いつきました。

 同一人物に対して、色々な言語で色々な表記がなされたり、自分と同姓同名の人が世界には何千人もいるようでは、名前から個人を特定するのが難しいという事情があります。

 ですので、仮に人類一人ひとりに与えられる番号を"グローバルID"と呼びますが、これが実現すれば究極の合理化になります。その一方で「超監視社会」になることも避けられません。

 長期的に見れば、全人類の一人ひとりに終身のID番号が与えられるでしょう。人類史の中で、この種の流れは避けられないものです。問題は、それがいつ実現し、社会をどのように変えるか、ということです。

 実現すれば、学歴や職歴、さらには遺伝子情報を含めた個人情報はグローバルIDで一元管理されるようになるでしょう。

 これで経歴や身分の詐称は不可能になります。国外逃亡しても人生のやり直しは難しい。指名手配犯や前科の情報は世界規模で共有され、表社会では行きられないでしょう。

 企業の採用や結婚などの場面においても、「グローバルIDの記録」の提出を義務付ければ、信頼に足る経歴の持ち主のみを雇用したり、結婚の対象者とすることができます。

 もっとも、これらを「メリット」と呼べるかどうかは、相当に微妙なところです。

 もちろん、確実に便利になるであろう分野も存在します。例えば、"グローバルID"を指紋認証システムと組み合わせれば、現金どころか、財布を持ち歩く必要もなくなるでしょう。

 さらに、タッチパネルと指紋認証が組み合わされて、画面に表示された商品に指でタッチするだけで、"グローバルID"からの情報で決済がなされ、現住所に商品が送られてくることもいずれは可能になるでしょう。  

 あるいは、"グローバルID"をベースに、世界規模のセーフティ・ネットを配備し、「1日2回の食事と寝る場所」だけは保障する、といったこともできるかもしれません。

 繰り返しますが、この種の技術的な流れは変えられないものです。ならば、"グローバルID"が世の中をどう変えるのか、その予見をした方が得策でしょう。

山田宏哉記
 
 2010.7.7
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