ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2631)

現金決済――ビッグブラザーの次なる標的

 現金とは「匿名の決済手段」だ。ビッグブラザーならばこう考える。

 「現金で売買をするのは卑怯な行為だ。人々の間で行われている金銭の授受は、すべて可視化され、国家の管理下に置かなければならない。そのためには、貨幣に名前が書かれていなければならない」と。

 大きな時代の流れとしては、商取引に関して「現金決済の禁止」の方向に向かっていると思う。企業間の商取引においては、銀行振込が当たり前である。

 企業間の取引において、担当者同士が現金の授受をするというのは、もはや考えられない。仮にこのようなことをするとすれば、何か重大な裏事情があると疑われても仕方がない。

 このような現金に対する態度と考え方が個人の生活にまで押し寄せてきたらどうだろうか。

 これからは「カードを使えますか」ではなく「現金は使えますか」と聞く時代になるだろう。さらに言えば、「現金使用不可」の店が増えるだろう。

 例えば既に今でも、六本木ライブラリーの会員になるには、クレジットカードで決済をしなければならない。現金で札束をいくら積もうと、クレジットカードがなければ、会員になることはできない。

 合理性だけを追求するなら、コンビニエンスストアなどでも、「現金客お断り」にした方がいい面が多い。

 あまり公然とは言われないが、コンビニや飲食店では、よくレジの打ち間違えが起こる。「そんなことはない」という人は、単に気付いていないだけだろう。人間がやる作業には必ずミスが紛れ込む。

 本日もコンビニで合計金額がおかしかったので、訂正してもらった(実際より安い金額が表示された)。 

 さらに言えば、コンビニの防犯カメラは「レジ係がネコババしないように」つけられている。

 コンビニが「現金客お断り」にすれば、上記のようなリスクとコストは一気に減らすことができる。コンビニ強盗もわざわざ「現金客お断り」の店舗を襲ったりはしないだろう。

 ビッグブラザーから見れば、現金は不正や犯罪の温床になっている。

 「犯罪防止」の口実のもと、匿名性の高い現金決済を禁止し、商取引を可視化し、追跡可能にすることで、国家の管理下に置く。これこぞビッグブラザーの次なる標的だ。

山田宏哉記
 
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 2010.7.13
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