ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2636)

ビジネスパーソンのための修学旅行戦略

 『地球のハローワーク』(日経BP)という写真集があります。古今東西の「働く現場」を集めたもので、とても素敵な写真集です。

 この写真集は訴えかけてきます。「自分がいかに狭い世界で生きていて、外の世界を知らないか」と。

 社会人であれば誰しも気付いているように、すべてのビジネスパーソンが仕事で日本中あるいは世界中を飛び回っているわけではありません。職種、業界、勤務先の企業によって、出張の機会は大違いです。

 今回僕が訴えかけたいのは、どちらかと言うと、"仕事であちこち飛び回らない人"に対してです。

 基本的には毎朝、同じ職場に出勤して、仕事をして、帰宅する。そのサイクルを繰り返す、というイメージです。

 現在、そのような職についている人は、特に日本全国あるいは世界中を探訪する必要はないのか。僕は「それは違う」と思う。

 物事に対する見識を深めるためには「実際に足を運ぶ」という過程がどうしても必要になる。"現場"を知らない者の発言には重みがない。

 そして重要なことは、勤務先の企業や職種を問わず、日本全国さらには世界中を"現場"として捉える必要性が高まってきたことです。

 僕自身、海外どころか日本国内にも行ったことがない場所が多くて、正直「ヤバい」と思い始めています。

 本来は、大人こそ、文字通りの"修学旅行"に出かけるべきなのです。

 中学高校の修学旅行は、大抵、修学旅行の名に値しません。ただ観光地で遊んで、夜は旅館で異性とイチャイチャして、それで終わりです。

 大人は、それ(だけ)では駄目です。

 何より、自分の生活圏の狭さと世界の広さを身体で感じるべきなのだ。たとえ仕事で世界中を出張しているビジネスパーソンであっても、会社が"ビジネスチャンス"と捉えていない地域には行っていないと思います。それではやはり"偏り"がある。

 "大人の修学旅行"においては、一定の予算枠と日程の中で、最大限の成果を得られるように、宿や交通機関の手配、探訪する場所を選定する必要があります。

 もちろん、本業を疎かにしては本末転倒です。用意周到に月単位・年単位の休暇を組んでいく必要があります。残念ながら、日本企業は長期休暇が取りにくいのが現状です。

 また、何しろ時間が限られているので、東北地方に出かけるとしたら、普段から東北地方に出かけた時に「やるべきこと」をリストアップしておくことも必要でしょう。このプロセスもまた、自己鍛錬の一環です。

 つまり、"旅に出る"という行為には、"人としての総合的なブラッシュアップ"という側面が色濃く反映されています。若者が定職につかずに"自分探しの旅"に出かけるのも、それを期待してのことでしょう。

 そんな若者を揶揄する暇があるなら、ビジネスパーソンであっても、いやビジネスパーソンだからこそ、"修学旅行"に出かけるべきではないでしょうか。

山田宏哉記
 

 2010.7.18
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