ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2637)

 2010年の"なんばパークス"探訪記

 2010年7月16日、大阪の"なんばパークス"を探訪した。

 なんばパークスは、都市の再開発が一定の"成功"を収めた例であると判断できると思う。

 「日経産業新聞」2008/06/06付の記事「なんばパークス――段丘状の建物、緑を一望(時代をデザインする)」では、なんばパークスの意義が簡潔に記されているので、以下に引用しよう。

 【引用開始】

 
緑に包まれた複合商業施設「なんばパークス」が誕生した二〇〇七年四月、無機質なビルに囲まれた大阪・難波の景色が一変した。施設の屋上部分を段丘状に設計し、七万株の樹木を植えた公園に仕上げたのが特長だ。街歩き文化の根付く同地区にすっかり浸透し、人通りが絶えない。

 なんばパークスは南海電気鉄道が大阪球場跡地を再開発して生まれた。「自然と都市と人とが融合した街づくり」をコンセプトに建設を進め、昨春、グランドオープンにした。(中略)

 再開発前の球場があった当時から周辺には、ボウリング場や場外馬券売り  場など娯楽施設が多く、市民が集まる場として親しまれていた。路面店も多く、街歩きを楽しむ文化が根付いた土地柄だ。パークスガーデンは地上から歩いて屋上にある公園に自由に散策して移動できるので、街歩きの延長で緑を楽しめる点が人気を呼んでいる。


 
【引用終了】

 この種のテーマパークにありがちなのは、マスメディアが広告主への配慮などから"話題のスポット"として報道する割には、実際には賑わっていないということだ。

 実際に探訪してみて、なんばパークスは2010年の7月現在においても、人々で賑わっていた。その設計思想も注目に値すると思った。

 その様子を写真に写真に収めてきたので報告しよう。

【写真1】なんばパークス外観 

【写真2】なんばパークスタワー。ランドマーク的存在。約4,000人が働いている。


【写真3、4】なんばパークス内観。



 写真の通り、なんばパークスの内観は、「渓谷と地層」を連想させる設計となっている。そして、これが屋上階(=コンセプト上では"地上")の「パークスガーデン」に緑が溢れる布石となっている。

 設計したのはアメリカの著名な建築家ジョン・ジャーディJon Jerde(1940〜)である。ジョン・ジャーディは六本木ヒルズの設計も手がけたとされるが、確かに両者はどこか似通っている。

【写真5、6】屋上階のパークスガーデン




 屋上階のパークスガーデンは、なんばパークスの目玉のひとつとなっている。

 前出の「日経産業新聞」の記事によると、パークスガーデンは 7万株の樹木が植えられ、「コウヤマキなど高木のほか、ツツジやバラといった中低木、ローズマリーなど草花の合計三百種ほ ど。大阪の風土に合わせた品種から、花を一年中楽しめるように選定した」という。

 私自身、このコンセプトには意表を突かれたが、これは案外、 「あり」だと思う。

 都心部に緑があるというのは、たとえ人工的に設計された空間であっても、どこか安心感を覚えるものだ。

 "都市の再開発"が喫緊の課題になっている現代日本において、なんばパークスという"成功例"は、他の再開発プロジェクトにとっても参考になるのではないだろうか。

 山田宏哉記
 
 2010.7.19
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