ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2656)

 "副業"と"副収入"の違い

 "副業"と"副収入"は違います。

 そして、企業は従業員対して、"副業"を禁止することはできても、"副収入"を禁止することはできません。雇用契約の権限は、そこまで及ばないからです。

 "副業"とは簡単に言えば、「雇用契約を二重に結ぶこと」です。

 例えば、マクドナルドが社員が、休日にモスバーガーの店員としてアルバイトをしたら問題があるのは、比較的、誰にでも理解できると思います。ですので、"副業の禁止"には一定の合理性があります。

 "副収入"とは"副業"よりも広い概念です。そして、雇用契約で「収入源が複数あること」を禁止することはできません。

 極端な話、宝くじに当選したり、ブックオフに本を売ったり、銀行預金に利子が付くのも、"副収入"です。

 しかし、「宝くじを買ってはいけない」とか「古本屋に本を売ってはいけない」とか「利子がつくので、銀行に預金してはいけない」などという規則を定めた企業は、(たぶん)ありません。

 つまり雇用契約上、"副収入"を得ることは自由なのです。少なくとも、企業は、従業員が株式の配当、印税、原稿料、ウェブサイト運営の収益等を得ていることを理由に、処分をすることはできません。

 さらに踏み込んで言うと、例えば「IT企業の従業員が、会社に無断で深夜のファミリー・レストランでアルバイトをするのはいけないのか」と問えば、一慨に「いけない」とも言えないようです。

 企業と従業員が雇用契約で取り決めるのは、あくまで勤務時間内の事柄に関してです。企業が勤務時間外の従業員の行動に関して「どこまで拘束する権利があるか」と言えば、基本的には「ない」。

 若干の例外、つまり「機密事項を話さない」とか「同業他社に雇用されることを禁止する」といった拘束ができるだけです。

 最も、以上の記述はあくまで契約をベースにした理論上の話です。

 一般常識や社会通念に照らせば、勤務先でわざわざ「副収入を得てます」などと、自分から言い触らさない方がいいのは、言うまでもありません。

 「ビジネスパーソンが副収入を得ても雇用契約上、問題はない」ということがあまり公然と言われないのは、「愛社精神」や「忠誠心」を毀損する危険性があるからです。余計なことをして、余計な人を「敵」に回すのは、賢明ではないでしょう。

 ですので現実には、この辺りの事情に配慮する必要はあります。

 但し、繰り返しますがあなたの勤務先の会社は、あなたが"副収入"を得ていることを理由に、あなたを処分することはできません。このことは、知っておいて損はないでしょう。

 山田宏哉記
 
 2010.8.8
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