ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2677)

 検索キーワードから透ける人生

 検索キーワードというのは、人々の「内面そのもの」であり、「関心そのもの」です。ウェブサイトにアクセス解析を設置していると、訪問者がどのような検索キーワードを辿ってきたかがわかります。

 文筆劇場への訪問者の大半は、「ブックマーク」等からのアクセスです。検索キーワードを使う場合も、大抵、僕の名前かサイト名になります。これはある程度予想がつくことで、その意味で、主流派にはそれほど意外性はありません。

 僕の想定を超えているのは、検索結果から、トップページではなく、個別記事に直接、アクセスしている人たちです。

 これまで検索でたまたまヒットしたタイプの訪問者は殆ど無視していたわけですが、この態度は改めようと思っています。

 印象的だった検索キーワードをいくつか紹介しましょう。

 1.奥歯が折れた

 奥歯が折れると、本当にショックを受けます。おそらくこれは、体験した人にしか分からないことのひとつです。

 2.死に場所としての病院

 病院を"死に場所"に選ぶかどうかは、個人の判断に拠るでしょう。しかしこれが重い選択であることは間違いありません。

 3.職場 告白 断る

 この用語で検索したのは「職場で告白されて困っている人(たぶん女性)」だと推察できます。返事そのものは迷っていないけど、「どのように言うか」の部分で迷っている。たぶん、ありふれた人生の一幕。

 4.男は勝たなければいけない

 実際に勝っている男は、改めてこんな決意をしたりはしない。おそらく、この訪問者の男性は、あまり思うように勝てていないのだろう。

 5.入院 大部屋 マナー

 この訪問者は、何らかの事情で大部屋に入院することになって、マナーをどうするべきか、気になったのだと思います。入院というのは逆境ですが、人生の転機にもなりえます。

 いずれも、よくある検索語ではありませんが、いずれの訪問者も「切実さ」を抱えていたと思います。

 最近では画像検索などの技術開発が盛んですが、検索方法の主流がキーワード検索であるのは、まだしばらくは変わらないと思います。そして、検索キーワードを通して、そこには他者の人生が透けて見えるのです。


 山田宏哉記



 2010.8.30
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