ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2679)

 映像をテキストに要約する

 以前、「自分がアウトプットする媒体とインプットする媒体を意識的に分ける」というアイディアを書いたことがあります(「インプットとアウトプットの媒体を別にする」参照)。

 僕にとっては、探訪記や体験記を書いたり、NHKのドキュメンタリー番組を要約することが、その実践となっています。

 中でも、「映像をテキストに要約する」という技術・技能は今後、かなり有望だと僕は考えています。

 映像をリアルタイムで視聴することは、時間を消費します。単純な話、60分の番組を3本観るためには、180分が必要ということになります。

 忘れてならないのは、"時間"こそが最も貴重な資源だということです。時間が何より貴重な世の中では、映像視聴によるタイムロスは結構、深刻な問題です。

 そこで考えられる対策のひとつが、「映像をテキストに要約する」という手法です。

 需要は、ある。僕自身、60分のNHKのドキュメンタリー番組を600?1200字くらいで要約すれば、結構、真面目に読まれるという感触があります。

 そして暫くは、コンピュータに代行させることは不可能でしょう。

 ウェブ上でTV番組が言及される場合、大半は「面白かった」とか「つまらなかった」といった感想の領域に留まっていて、情報密度は高くありません。これは無理からぬことで、映像の要約は難しいのです。

 一冊の本を原稿用紙2枚分くらいにまとめる作業であれば、普通の学校秀才でもできます。

 しかし、「映像をテキストで要約する」となると、全く別の能力が必要とされます。鳥瞰の視点は必須ですが、得てして「神は細部に宿る」ものです。

 そして何より、言語表現能力の稚拙がダイレクトに問われます。

 「映像内容の全てを伝えることはできない」と踏まえた上で、いかにコストパフォーマンスの高い要約にするか。それは"批評の実践"そのものでもあるのです。


 山田宏哉記



 2010.9.1
 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ