ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2681)

 電子ペーパーは紙に取って代わるか

 1999年にビル・ゲイツの『思考スピードの経営』が出版されたとき、僕は高校性でした。この本を読んで、「将来、紙がなくなるかもしれない」と衝撃を受けたものです。

 それから10年経った今、まだ紙はビジネスシーンで使われています。

 理屈の上では、ビジネスの書類は原則、電子データで管理・活用するのが望ましい。保管にかかるコストが紙と電子データでは段違いです。

 ペーパーレス化というアイディアそのものは、1990年代から言われてきました。

 ボトルネックとなってきたのは、電子ペーパーのユーザ・インタフェースです。紙の代替品になるだけの電子ペーパーが、手頃な値段ではなかったのです。iPadやキンドルの登場を待って、ようやく電子ペーパーが実用化の段階に入ったと考えるべきでしょう。

 紙と電子ペーパーの使い勝手の差は、考えられているよりも大きいものでした。

 紙にペンでメモをするのと同じ具合に、電子ペーパーに情報を書きこむことは、まだ実用化の段階にはありません。

 あまり公言されませんが、紙には「粗末に扱える」という"メリット"があります。紙はグチャグチャに丸めたり、破ったり、捨てたり、千切ってメモとして渡したりできます。しかし、高価な電子ペーパーの端末でそれをやるわけにはいきません。

 また、電子ペーパーが「使える」と評価されるための基準として、「紙の書類よりも速く閲覧できる」という点は重要だと思います。紙の本では1ページめくるのに0.5秒かかっていたものを、電子ペーパーなら0.01秒で次のページをめくれるとしたら、充分に導入する価値はある

 お風呂で文庫本を読むことはできますが、湯船につかりながらiPadを操作するわけにはいかない。読書家にとって、これは意外と見過ごすことができないポイントです。

 さらに、iPadでPDF化した書籍を読んでいても、コンピュータの情報処理の関係上、読む速度は、どうしても紙の書物よりも遅くなります。  

 但し、肝心なことは、ペーパーレス化というアイディアと方向性は、間違ってはいないということです。

 目下のボトルネックはあくまで技術的な課題です。逆に言えば、これらの課題が技術的に解決されれば、僕はペーパーレス化は一気に進むと考えています。


 山田宏哉記



 2010.9.2
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