ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2684)

 横須賀に原子力空母があることの重さ

 2009年、小沢一郎氏が民主党代表を務めていた頃、「米国のプレゼンスは第7艦隊だけで十分」という発言が注目を集めた。

 2008年9月25日には、原子力空母のジョージ・ワシントン(GW)が、横須賀基地に入港した。

 新聞報道などによると、この日、横須賀基地周辺には全国から約300人の"市民"が集い、「浮かぶ原子炉はアメリカに帰れ」などとシュプレヒコールを繰り返したようだ。対照的に、地元の住民は冷静に受け止めたようだ(「日経新聞」2008/9/25付夕刊参照)。

 GWは老朽化に伴い退役する空母キティホークの後継艦にあたる。横須賀に配備される空母としては4隻目にあたる。

 GWはミニッツ級航空母艦に分類され、米軍が所有する量産型原子力空母10隻のうちの1つである。そして、アメリカ本土以外を母校とする唯一の艦である。

 GWは、原子炉2基を動力に推進し、18年間もの間、燃料補給が不要とされている。

 全長332メートル、乗組員数は約6,500人とされる。滑走路は約60メートルで、戦闘機は加速2秒で時速200キロに達し、飛び立つ仕様になっている。

 現在、原子力空母を量産できる体制の国家は、アメリカ以外にはない。原子力空母の存在は、アメリカの軍事力が他国を圧倒する決定的な要因のひとつとなっている。

 だからこそ、GWが「横須賀基地」にあるということの意味は重い。

 極端なことを言えば、横須賀には「原発」があるのである。さらに言えば、その原子炉に日本の規制と監視は及ばない。

 「日経新聞」2009年5月28日付の夕刊記事は「米第7艦隊のいま」と題して、第7艦隊を以下のように説明している。

【引用開始】

 第七艦隊はハワイの真珠湾に本部を置く米太平洋艦隊の中核で、西太平洋・インド洋を担当している。第七艦隊は約七十隻の艦艇と約三百機の航空機、海軍と海兵隊合わせて約四万人の規模を誇る。このうち二十一隻が日本やグアムに配備されている。

 横須賀にはGWなど十一隻が配備されている。うち九隻が高性能の対空戦機能を搭載したイージス艦だ。

 二〇〇六年に米軍は大気圏外を飛ぶミサイルを迎撃できるスタンダード・ミサイル(SM3)を搭載した最新鋭のイージス艦「シャイロー」を初めて横須賀に配備した。当時は「防衛」より「攻撃」色が強いシャイローの配備に地元からの反発も起きたが現在、同じ機能を持つ艦船は五隻に増えた。横須賀重視の米海軍の方針がうかがえる。

 ただ高性能な艦船が集中すれば、有事に狙われる可能性もある。横須賀基地は旧日本軍の海軍工廠(しょう)を接収して建設したが、米軍が返還を検討している様子はない。

 米海軍にとって、第七艦隊は台湾海峡で紛争が起きた場合の即応部隊という意味合いが大きい。一九九六年、台湾総統選で中国が嫌う台湾独立派の李登輝氏の優勢が伝えられると、中国側は台湾沖で軍事演習を実施し、海域にミサイルを撃ち込んだ。米海軍は二隻の空母やイージス艦を付近に派遣し、一触即発となった。(「日経新聞」2009年5月28日付夕刊)

【引用終了】


 神奈川県は沖縄に次ぐ「第二の基地県」でもある。私たちはつい、そのことを忘れているのではないだろうか。


 山田宏哉記



 2010.9.5
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