ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2691)

 "吉野家の店員"のキャリア戦略

 社会人としての第一歩が、"吉野家の店員"であることは、誰にでもありえることです。

 いやむしろ、若者は「求められる技能が高い割に、報酬は高くない職種」に就くことになるのが普通です。

 では、"吉野家の店員"としてキャリアをスタートさせた場合、どのようなキャリア戦略を取るのが得策になるのか。

 こういう場合、まず"吉野家の店員"の仕事内容を細分化して考えるのが定石です。

 "吉野家の店員"の仕事を大きく分けると、調理、接客、会計になると思います。このうち、自分はどの分野に強みを持っていて、今後、どのような仕事をしたいかを考えます。

 今後、料理人になりたいとしたら、吉野家のメニューの調理方法を徹底的に研究して分析します。もちろん、それだけでは不十分で、プライベートでライバル店の牛丼の味と比較したりすることも必要になってくるでしょう。

 接客の道を歩みたいと思うなら、徹底的にお客さんを記憶したり、客層を分析するのが得策でしょう。客の風貌から注文するメニューを予測することくらいは可能になるはずです。

 会計の道を歩みたいと思うなら、「一日の売り上げがいくら」といった事柄にこだわるべきでしょう。損益分岐点を超えるためには、一日何人のお客が必要で、時間帯によって客数はどう変化するか、といったことに敏感になる必要があると思います。

 もちろん、"吉野家の店員"である以上、調理にせよ、接客にせよ、会計にせよ、合格点を超えていることは必要ですが、+αの部分で何に注力するかは、自分で決めればよいことです。

 仮に"吉野家での現場経験"が、転職や独立をする際、あまり評価の対象にならないようであれば、資格の取得なども視野に入れるのがよいでしょう。

 しかし、こうしてみると"吉野家の店員"というのは、実にやりがいのある仕事のようにも見えます。

 たぶん大切なのは、どのような境遇に置かれても、ふて腐れずに全力を尽くすことです。金銭が付いてくるかは別ですが、どんな仕事も、心をこめてやれば、おもしろくてやりがいがある。

 僕自身、掃除屋や日雇い労働といった「"やりがいがない"と思われている仕事」もしてきたので、この辺りの機微はよくわかります。

 綺麗事かもしれないけど、きっとそういうことなのです。


 山田宏哉記



 2010.9.17
 記事一覧へ戻る 文筆劇場・トップ