ジョン・スミスへの手紙
 サイバー・ラボ・ノート (2693)

 2010年の築地 移転であれ、再整備であれ

 
2010年9月18日、東京の築地を探訪した。言わずと知れた魚の一大市場である。

 市場の前には朝日新聞の東京本社がある(そのせいか、朝日新聞では「築地うおッチ」という連載をやっている)

 そして築地は今、移転や再整備の計画で揺れている。築地市場の開場は1935年になるが、施設の老朽化が深刻な問題になっている。世代交代や後継者不足という問題もある。

 奇しくも同日の日経新聞に築地市場の老朽化に関する記事が掲載されたので、以下引用する。

【引用開始】

 「都民の台所」である築地市場で働く人々は、決着のみえない移転論議を複雑な表情で見つめる。

 「狭いし、天井は低くて大型トラックは入れない」(青果の卸業者)、「しょっちゅう雨漏りがして、そのたびに都に直してもらう」(水産仲卸業者)。1935年に開場した築地市場は、建物・設備の老朽化が深刻だ。

 今年7月には青果の卸売り場で、はがれ落ちた天井近くの壁の一部が作業員の額に当たり、けがをする事故があった。屋根からの落下物はこれが初めてではなく、すし店、料理店などの買い出しの人でにぎわう水産仲卸売り場も、天井部に落下防止のネットが張られたところが目立つ。

 1980年代に始まった「新市場」の議論。水産仲卸業の男性(53)は「流通の形態は年々変わっていて、今は市場を通さなくてもインターネットでどんどん取引できる。新しい市場の形を早く示してほしい」といらだつ。

 移転の是非を巡っては、業者も割れている。「一刻も早く新しい市場に移りたい」(青果卸会社の男性社員)との声がある一方、60代の水産仲卸業者は「後継者はいないし、豊洲に移ってまで商売を続ける気はない。議論がもめて進まないのは歓迎だ」と明かした。

【引用終了】


 また、「日本経済新聞」8/31付の記事によると、築地を現在地で再整備すると、費用は約1460億〜1780億円で工期は約11〜17年間になるという。一方、豊洲に移転する場合、費用は約4316億円で開場は2014年になるようだ。

 経済合理性から判断しても、再整備の方が合理的だと思うが、それに加えて豊洲には深刻な土壌汚染問題がある。私は現在地で再整備の方が望ましいと考えている。

【写真1】築地市場。


【写真2】築地・構内地図。



【写真3】築地市場。駐車場。



【写真4】築地・場外市場。丼ものは\1,000〜2,000くらい。


【写真5】築地・場外市場。寿司のセットは\2,500〜3,500くらい。


【写真6】築地の商店。


【写真7】波除(なみよけ)神社。


 築地は、半分観光地と化していて、外国人観光客や若いカップルの姿も目についた。

 店先では元気なおばちゃんが客引きをしていたりする。ふらっと立ち寄った店で\980の鉄火丼を食べた。確かに新鮮で美味しかった。

  「人情に溢れた」と言えば聞こえが良い一方で、築地は時代に取り残された感もある。

 また、築地の記録を残しておくことも喫緊の課題となっている。小山田和明 (著)『聞き書き 築地で働く男たち』(平凡社新書)は良書なので、築地に興味がある人には一読をお勧めしたい。

 再整備するにせよ、移転するにせよ、現在の姿の築地を見ることができる期間は、そう長くはない。今のうちに一度は探訪しておきたい場所のひとつであることは間違いない。

 山田宏哉記



 2010.9.19
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